10/01/2016

dangerous body panel restoration

 レストア再開てことで、いろいろネットで調べたりしてたんですが、巷のvespa屋さんも、vintageモデルの再生産が終了し、生き残りを掛けて、piaggioの新車販売継続主体か、旧車の修理を重点に置くか、だいたい二方向に各店試行錯誤されたようですね。
 わたしがレストア開始した当時は、ボディのレストアから自社でやってるvespaのショップなんて日本にはまず無かったんですよね。vespaのボディの板金塗装てのは、どこのショップも外注任せだった。お店でやるのはボディから分解して、エンジンとサスペンション周りの修理と、板金屋さんから仕上がってきたボディへの再組み立て。こういう流れだったと思います。それが最近では自社で板金も扱うお店が増えてきたようですね。
 でも、前述のように、本来、板金塗装の技術的には決して長けていなかったのに手を出してるものだから、お勉強不足甚だしいショップが多いように感じます。

 なんと云っても、旧車のボディのレストアでの一番の懸念は、錆びとりと防腐加工処理について、です。
 これに関して、余りにも無知で、稚拙な発想のまま施行されているvespaショップが目につきます。

 錆びとりの技術の一つとして、"Sand Brust"という施行方法がやっと日本でもポピュラー化したようですが、これ、実際にやれば判りますが、ミラクルです。まるで塗装のスプレーを吹き付けるように見る見る錆が落とせてゆくんですからね。サンダーなんかで削り取る作業なんて時間が掛かるし、同時に錆びていない健康な地金もどうしても削り取ってしまうから、加工の時間も仕上がりにも雲泥の差が出ます。なので、ブラスト処理することを『売り』にしてる業者があります。
 ところが、ですね、ブラストすると、地金が剥き出し状態になります。つまりはまったくの鉄の素地の状態になります。すると、忽ち空気中の酸素と水分に反応して表面は錆び始めるんです。ほんと、これは早いです。まるで施工者の吐く息や汗の水分にも反応するかの如く、の即効性なのです。これに塩分が加われば更に酸化が促進されるのはご存知の通りです。なので、「すぐにプライマーを塗布します」と、ご丁寧に自社のサイトで解説されているショップがあります。
 いやいや、ちょっと待て。それじゃいかんだろ……。
 実際問題、表面的にあの茶錆は見えていなくても、鉄表面の酸化は空気に触れた瞬間にもう既に始まってしまっているので、それでは不完全なんです。こういう手順でプライマー塗布、上塗り、と進めても、当初の仕上がりは良くても、数年も保たずに錆が浮き出てくるのは目に見えてます。何故なら、塗膜では密閉不可能だから、です。要するに、塗膜には無数の小さな穴があり、そこから空気も水も通すから、です。密着とシール力の高いプライマーは在るには在りますが、高価ですし、完璧ではありません。また、特別にオーダーしない限り、一般的にはそのような塗料はまず使用されてません。プライマーと上塗り塗装で最大限密閉性を高める方法はただ一つ、「できるだけ塗膜を厚くする」です。

 では、判り易い例として、新車時の製造ではどうなのか? と、シンプルにおさらいしてみましょう。
 まず、第一に、メーカーで使用する鉄板は表面を酸化防止処理されたパネルを使用しています。だから、在庫時も製造時も、無塗装状態でも錆の発生には一定期間猶予があるわけです。それでも、ボディの製造工程の曲げなどの加工で表面の擦れなどは起こり得ますし、溶接などを施した部分などは熱が入ってるから錆び易い傾向が出てしまう。往々にして、後々の錆の発生はそういう箇所から始まるわけです。
 とにもかくにも、素地が剥き出しの鉄板なんてものはメーカーの工場では使用されてません。

 だから、大前提として、ボディ・レストレーションでは『パネルの表面に酸化防止加工を施さねばならない』ということなんです。これが、鉄板加工の最初の最低限の防腐対策です。
 ブラスト処理からそのままの状態でのプライマー塗布では、この大事な工程を完全にすっ飛ばしてしまうわけですから、後々は悲惨なことになるのは目に見えています。これについては、わたしは自分自身でレストア時の実験として実際に試して、よくよく承知しています。ほんと、鉄板をまったく防腐処理しないでその上から塗装すると、錆の発生は早いのです!
 だから、こういう手抜きをすること自体、わたしとしては大変な驚きです。
 これは、何もブラスト処理時だけに限らず、板金加工時全般に云えることです。ただ、板金処理した箇所には大抵表面を平滑に仕上げる為にパテが入れられます。「ポリ・パテ」てやつですね。ヘタクソな板金屋さんほど、このポリ・パテを厚く盛って下手な地金加工仕事を誤摩化す。しかし、逆説的には、この厚盛りポリ・パテのシール効果で、一定期間は浮き錆は「押さえ込まれている」んですね。しかし、その下の素地の層ではちゃんと日々錆は進行してるんです。なので、ある期間を越すと、表面の塗装諸共パテで埋められたところが「ドサッ」と落ちて錆びた鉄板が現れる……こんな経験をされた方は旧車マニアには多いことでしょう。

 パネルの防腐処理を海外のレストアラーの間では"Panel Plep"と呼んでます。単純に「事前処理」ですね。これは、工程的には、液体処理によって科学的に表面を焼く、と云えば伝わり易いでしょうか? つまり、鉄の表面を化学変化させて対酸化亜鉛皮膜を形成させるんです。これは、メッキ処理に似ています。こうしておけば、しばらくはそのまま放置でも錆びません(水に直接濡らすなどしなければ)。
 要するに、レストレーションで一旦、亜鉛皮膜表面が剥がされた鉄板が、再度、メーカーが新車を製造するときに近いパネルの状態に戻せるわけですね。だから、ブラストした後は、防腐処理として直ちにこのパネル・プレップをやる。これがプロフェッショナルのボディ・レストレーションの当たり前であり、常識なんです。この液体処理作業は、確かに一工程手間は掛かりますが、使用剤は決して高価なものではありません。
 そして、尚、この上から防腐に優れたプライマーなりでシールする、それでも完璧ではありませんが、出来る限りの最低限のボデイ・レストアの処理作業とは、本来はこういうことです。

 たぶん、以前にも書いたかも知れませんが、パネルの下地処理って、本当に大事なことなんですよ。だって、使用環境等にも左右されますし、それでも錆は完全には防げませんから。
  プロならちゃんと勉強して欲しいと思います。そして、客の立場であるみなさんにも、本当に、正しい認知と知識が広がって欲しいと思います。でないと、高い出費をして後で泣きを見ます。
 医者でも信じられない施術やらかして患者を殺したりするでしょ? プロだからって、手放しで信用しちゃダメです。
 ボディ・レストレーションをショップに依頼する場合は、プライマー塗布前の防腐処理について詳しく確認されることです。「パネル・プレップ? なんですか、それ?」なんて返されたら、即、踵を返して立ち去りましょう。そのように厳しい眼でショップの認識なり技術なりを判断する。そうすれば、業界的にも技術向上に繋がるんじゃないでしょうか。

 あ、ちなみに、一つ前の投稿のHandlebarの無塗装部分がPlepしてある状態です(無論、わたし自身の手で)。

9/29/2016

Blinker Switch

 Blinker (Indicator)付加モディファイにあたり、下準備。


 現状の我がrally 200のHeadsetにはBlinker less仕様のGear Change Handlebarが付いてます。つまり、上の画像の穴無しヴァージョン。
 Blinker付き仕様にするには、この画像の穴空きGear Change Handlebarが必要になります。まあ、自分で加工する人にはどうでもよいことでしょうが。
 そして、このようなダイレクションSwitchも当然ながら必要。

 ところが、複雑なんです、vespaは。


 Blinker Less(つまり、本来の状態)のHandlebarには、いわゆる"Inner Tube"なるものが本来在りません。そして、Cable StopのPully取り付けRetainerの位置がInner Tube付きタイプとは根本的に違うところになってます(画像の小さな穴の位置)。この穴の位置は、Headsetのセンターハウジング内(Headlight Housing)ではなく、その両外側になります。180SSなんかも同様ですね。
 ところが、Blinker付きヴァージョンはInner Tubeが付加されたことから設計変更され、Outer Tubeの長さと、このRetainerが貫通する小さな穴の位置も違うんですね、ややこしす(Headsetハウジング内に)。
 Inner Tubeの役割は、単純にHandlebar両端に付けられることになったBlinker Light Assy.の供回りを制御するための新設計によるものなんですが、旧タイプのThrottle & Gear Changeの両HandlebarのOuter Tubeは、これらBlinker Less Typeとは正確には互換性がありません(Handle Grip部の長さも違う)。
 旧タイプのHandlebarにBlinker Light Assy.を取り付けたい場合、「供回りしてもいいから強引にやっつけたい」という発想もありかと思いますが、純正の"Bar End Blinker"は、そもそもInner Tube在りきの規格なので、旧タイプOuter Tubeにはそのままでは取り付け出来ません。

 なので、本来、画像のこのGear Change Handlebarには純正のBlinkerは取り付けできないので、不思議な仕様なのですが、これはU.S.仕様のrally 200の純正品なんです。あの、Handlebarには付かない不細工なBlinker Light用だから、これでも構わなかったわけですね。

 
 U.S. rally 200のBlinker SwitchはCEV製で、SIEMのよりも上質です。動作操作感もカチッとして安心感がある物です。
このオリジナルが充分再使用可能なので、これを使う予定です。


 Knobの形状がSIEMの丸いのと違いますよね。こっちの方が指の引っ掛かりがよろしいです。

 ということで、小ネタでしたが、この画像のGear Change Handlebarは使用しません。
 この際、両HandlebarごとBlinker仕様に変更するつもりでいます。

9/24/2016

next project


 さてさて、今後の方針なんですが、下記のUp-dateを目論んでいるところです。


  1. Pinasco Flytech Kit導入
  2. Sports type Air Filter導入
  3. Headset (Handlebar Assy.)のRepaintとBlinker導入
です。

 1.は、前回、12v化モディファイ済みなんですが、更に電装まわりの安定化をしよう、と。もうオリジナルのFemsaに拘る必要もないか、と。で、P200のStatorを買ってDucati 12v化するよりもですね、Pinascoから発売されてるKitの方が安上がりだし、出力wattageも高いし、Lightweight Flywheelも付いてくるじゃん、というわけです。

 2.は、もう、すぐ破れて使い物にならなくなる、あのRubber Intake Bellowsを何度も購入させられるのはご免! と。そこで、RamairのSports Filterを装着し、オリジナルのAir Filterは廃止。これは決定事項!(笑)

 3.は、ちょっと経緯を思い出せないんですが、レストア時のペイント作業で、何故かヘッドまわりをサフェーサーを塗布せずにアルミ・キャスティングに直に本塗りしてたみたいなんですよね……手抜きだよー。で、今頃になってペイントが剥げてきましたわさ、と(アルミは直塗りだと塗料が密着しません)。わたしとしたことが、なんでそんなことしたんだろか? ま、とにかく、剝離して塗り直しです。
 で、この際、12v化もしたことだし、装備としてBlinker装着を考えても余裕だよな、と。昨今の交通事情も鑑みて、です。
 けれども、わたしはどうしてもあのvespaオリジナルのHandlebar End Blinkerが好きになれんのです。というのも、あの余分な尺のお蔭で車両の取り回しが面倒になるからです。これまでも歴代所有vespaで何回邪魔な思いをしてきたことか。だいたい片側50mmくらいでしょうか? トータル100mmですよ? それだけ車幅が広がるわけです。そりゃあ邪魔です。なので、ぶつけるし、ぶつけられるし、レンズをしょっちゅう買い替えないといけません。美観的にもHandlebarはBlinker Lessの長さがベストだとわたしは思いますし、それに拘ってます。
 で、ちょっといい思いつきをしまして、わたしオリジナルの考えを決行するつもりです。

 ということで、近々レポも開始予定であります。

original carburettor failiur


 またしても長期放置してしまったので、キャブのチェックから開始したんですが、オリジナルのDellorto Si 24 24Eに不具合が見つかりました(画像右)。

 スロットル・バルブが固着してしまってました。あれ、おかしいな? 問題無かったんだけど……。
 これはLarge-frame vespaに最もよくあるトラブルで、Si 24 24E本体の歪みが原因ですね。わたしとしては、キャブの固定トルクには要注意していて、トルク・レンチを使用して、緩めに管理していた筈なんですよね。だから、何故なのか、ちょっと解せないんですが。考えられるのは、トルク・レンチの不良か、セット間違いですが、うーん、あり得ない気がする。
 とは言っても、このままでは仕方ありませんので、急遽代替キャブを調達しました。「加工精度が悪い」と、評判がよろしくない近年のSpaco製ではなく、わたしとしては、やはりオリジナルDellortoのが欲しいところで、探しましたば、運良く初期型P200に取り付けられていたと思しき、大変状態の良いSi 24 24Eを手に入れることが出来ました(画像左)。
 オリジナルのは、過去投稿にありますように、初期型のものでしたが、入手出来たのは改良型だったのでラッキーです。

 早速、清掃し、使用していたウチのrally用"Tuned"仕様のJet類とCOSA Float Chamber、"01" Slide Valveを移植して「ニコイチ」化しました。殆ど新品に近い状態のキャブでした。これならバッチリです。
 固着していたSlide Valveは新品にしました。ちなみにP用は"03"が付いてました。rally 200は"01"で、こっちだとアイドリング時に燃料が薄くなりません。

 一先ず、キャブの問題は解決できました。
 

9/13/2016

Rivet Clamping Tool


 Floor Railの取り付けは、いい加減に 仮付けしたままなのですが、ちゃんとやり直そうと思います。
 問題は、あのAluminium Rivetで、なかなか美しく仕上げるのが難しい、大多数のD.I.Y. vespaレストアラー泣かせなポイント。きれいにかしめたいところですが、ハンマーを使用した手作業では大変難しく、しかもRivetの数が多いときた。なので、Pop Rivet(二本では「ブラインド・リヴェット」と呼ばれる)を代用した例が多いです(専門店の仕上げでも)。しかし、Pop Rivet仕上げは、作業自体は専用の打ち込みGunを使用するので素人でも至極簡単ながら、オリジナルのアピアランス感が失われて味気ないことこの上ない。早い話しが手抜き。

 そこで、今回は専用Special Toolを仕入れました。
 これだと片手でかしめることが出来、美しく仕上げられ、且つ作業時間も短縮。鬼に金棒Toolです。
 先端アタッチメントがFlatとRoundの二種が付属で、Badge用のも在って、Front Badgeの取り付けにも使用できます。

poor rubber

  再開手始めエントリーです。


 上の画像は、Carburetter Box InletのIntake Bellow Rubberなんですが、もう、これ、レストア後交換の3個めなんですよね……。
 現在、各国で流通しているOld vespa用Partsの大半は、OEM Partsで、特にRubber関連品はpiaggio純正のは極一部を除いて現在まず手に入りません。OEM製造メーカーも多く、どれが良質でどれが粗悪品なのか、各メーカー製のものを総当たりしてみないことには見当が着け難く、情報も少ない。このIntake Bellow Rubberには"Steelbird"の刻印が在ります。他の無印メーカーのも品質は同様でした。だいたい2年保たないで劣化してズタボロに破れてきます。本来、フレキシブルさが求められているのに、まったく機能を果たしません。
 ちなみに、Floorの「三角Floor Center Rubber」もGrey色の無印社外品のに同時期に交換してたんですが、こちらも同様にボロボロに……。総じて、社外メーカーのRubber関連Parts類は材質が粗悪で、昔のpiaggio純正品よりも早くに劣化崩壊しますね。お値段は結構するんですけどね。得にGreyとか、黒ではない色ものはもっと早く崩壊する気がします。
 まあ、消耗品として割り切るか……というところではあるのですが、それだと常にSpareを用意しておかないといけないし、しかも、不経済この上ない。このIntakeに関しては、わたしとしてはもう堪忍袋の緒が切れたというか、別手法でいく決断をしました。
 近々、Carburetterを含めたInlet系をUpgradingする方向で検討中です。

9/09/2016

long time

 久しぶりの新規投稿。



 またしても放置してしまいました(200 rallyもこのblogも) 。
 身内に不幸があったり、個人的に苦難が多々あったものですから。
 なんとか落ち着いてきたので、これからまた追々UPできるかな、と思います。

 Google検索ではウチのblog、凄くHit率高いので驚きました。blogの統計で見てもかなりのアクセスがありました。みなさんのお役に立っていたのでしょうか?
 以前、ファンの方から「全ページ、プリントアウトして読み込んでます」とのメッセージをいただき嬉しかったことを思い出します。またUsefulな投稿ができると良いのですが。

 取り敢えず、blogの表示文字サイズを標準に変更して読み易くしてみました。投稿数が多かったので大変でした。