9/28/2012

rally 200 original cylinder & piston

 またしてもPartsの到着待ちモードに入ったので、先日、Pinasco 215cc Kitに換装してバラしたrally 200OriginalのCylinderとPistonを再使用可能な状態で保管しておく為にCleaningしておきました。
 バラシ時に撮影できなくて、前回、紹介もできてなかったし。
An original cylinder assembly detached from my rally 200 then I washed used tooth brush & Kerosene
 灯油と廃歯ブラシWashingだけでこの状態までリカバリー。
 状態が頗るよろしいことがお解りいただけるでしょ?
Combustion chamber of cylinder head
 奇麗なもんです。
piaggio original piston (standard size)
 Pistonもこのとおり。再使用にはまったく問題のない最上レベルです。
 Standard Sizeです。
 PinascoのKitのスチロール・ケースにそのまんま全部収まるので、保管は楽です。
 CylinderのLinerには、錆止めにグリースをベットリ塗布しておきましたです。

9/27/2012

jamming exhaust pipe

 CarburettorのJetting……未だ決まりません。

 と言うのも、始動性が悪いことと、Fast Idleが中々安定して持続しないんです。その為、Settingしようにもゆっくり腰を据えてできない、という具合です。
 そうこうしていると、幾らKickしても殆ど始動不能状態となり、「Gasoline臭がしないぞ?」……Carburettorが詰まってしまったか、と思い、一旦バラシ。徹底的にCleaningして装着し直すも、Gasoline来ず。車載状態のまま、Float Chamber Lidをバラシてみる……そもそも、ココまでも来てない……Fuel Tapは"Reserve"の位置。「ん? ちょっと待てよ……」……ガス欠判明。
 と、まぁ、そんなトホホなこともあり、Kickのし過ぎで右足を傷めてしまい、身体クタクタ。
 その後、Gasolineも補充して、追加発注のIdle Jet - 2.67が届いたので試してみるも、2.40と結果は然程変化せず、Spark Plugも#8に換えたりしてみたのですが、特に変化はなく、始動はしてもIdlingが続かない症状は同じで、また、Engineストール後の再始動も困難。Spark PlugのCheck状態、Engineの調子から察するに、混合気の状態はIdle Jet - 2.40と2.67、何れも濃い。ところが、Pilot Adjust Screwを締め込んで薄めにSettingしてみると、始動できなくてダメ。なんじゃこりゃ。
 それでも、Jetting的には、
  • Main Jet: 122
  • Idle Jet: 2.67
  • Pilot Adjust: 2.5 Turns Out
  • Spark Plug: NGK #9 or #8
 この状態がなんとか始動可能。Idle Jet - 2.80でもギリギリ始動可能もIdlingは不可能。

 うーん、なんかおかしい、根本的になんか違う。

 吸気系の問題じゃない気がやっとしてきて(というか、吸気系はもうこれ以上改善策がないし、問題が見当たらない)、Exhaust Pipeの詰まりを疑ってみますと、これはOriginalのまま、ほぼ手を掛けずに使用なのでした。
 よく考えてみたら、過去に一度、棒で軽く突いてCarbonを掃除したことはあるのですが、サクッとそれだけしただけでした。前回はそれで特に問題なかったし、今回も一応始動はしたので不問としていましたが、現在の状態からして、Exhaust Pipeの詰まりが最も怪しい。というか、ここまで追い詰めて、消去法で考えても、これが根本的原因なのはほぼ間違いないでしょう。
 2 Stroke Engineの場合、未燃焼Oilの混じったガスの付着/蓄積によるExhaust Pipeの内部の詰まりはよくある不具合の一つで、過去にも経験あったのでわかってます。でも、素人の我々は、中々そこに思い当たらない。特に、今回のように、CarburettorのJettingという、本来のオリジナル状態ではない設定を試みていた場合などでは原因究明に混乱を来す訳で。

 今回のレストレーション再開では、当初はPinasco 215 Cylinderと併せて、同じくPinascoのExhaust Pipeも装着しようとしたのですが、SIPの送料が割高だったのでオーダーを見合わせたんですよね。ところが、日本のショップではこれが欠品中のお店ばかりで、只今テンポラリーに入手困難(売価が異常に高い東京の某有名店には在庫あり)。お店にボロ儲けはさせたかないし、他のメーカーのはわたし的には良いと思うのがないのです。結局、Pinascoさんに義理立てたい。仕方ない、背に腹は代えられず。再度、SIPにオーダーすっか。

 OriginalのExhaust Pipeを一旦外して、焼き入れするか、パイプユニッシュするかで内部のCarbon落しをすれば、なんとかExhaust Pipeとしての機能回復は可能とは思うのですが、だいたい、Originalのはいわゆる「左出し」で、これって、Rear Tyreが汚れ易いんですよね。それ以外の点(Soundとか)は控えめで、嫌いではないんですけどね。
 それに、「左だし」TypeのはTyreの交換作業時にOutlet Pipeの部分が邪魔になって面倒だし、やっぱ、「右だし」のSport Typeがカッケーし良いなー、と。なので、今回はOriginalのは手を掛けるまでもなく、見栄え、その他も考え合わせて交換するが早いかと。

 ということで、Jetting再Challengeは先送りで来週ですなー。

9/25/2012

modification of Dell'orto SI type carburettor

That is wrong combination in type of carburettor and Idle Jet!
 調査して、Dell'orto SI 24/24E CarburettorにMinor Change(Modification)が施された正確な変更時期が判明しました。
  • vespa P200E (VSX1T) - From Chassis #5740
  • vespa P150X (VLX1T) - From Chassis #41170
  • vespa P125X (VNX1T) - From Chassis #24008
上記のChassis #以降のvespaに搭載されたSI 24/24E Carburettorには、新しいTypeのAir Hole付きIdle Jetが着いており、Body側のAir Calibrator Holeはリベットを打ち込んで塞ぐ変更がなされています。
 同時に、Throttle Slideも新しいデザインのTypeが採用されています。

 上記より以前のChassis #のModelに搭載のSI 24/24E Carburettorに関しては、rally 200と同様にCarburettor Body上にIdle JetのAir Calibrator Holeがあり、Old Type(No Air Bleed Hole) Idle Jet付きです。P200Eの初期途中から変更採用されてたみたいなので、初期型P200Eでも要注意ですね。

 この変更の理由について、piaggioのリファレンス上では、「あるコンデションによっては、Carburettor BodyにあるAir Calibrator Holeから漏れが生じて不具合が起る為」と記載されておりました。
 確かに、よくよく観察していると、時々、ここからAir、或いは、Gasolineが逆流噴射したりすることが見て取れました。

 要するに、
  • Carburettor Body側にAir Calibrator Holeあり(Old Type SI 24/24E) - 穴なしIdle Jet(Old Type)を使用
  • Carburettor Body側にAir Calibrator Holeなし(Latest Type SI 24/24E) - 穴ありIdle Jet(Latest Type)を使用
*双方、Idle Jetについては互換なし

 ということです。ややこしいですけども。

 従って、Old Type SI 24/24EにLatest Type Idle Jetを使用するには、Body側のAir Calibrator Holeを塞ぐ加工が必須です(重要)。
IMPORTANT: You must be sealed "Air Calibrator Hole" on the carburettor body if you use latest type Idle Jet.
 わたしの場合、最終的にはこのようにアルミ・パテで埋めて塞ぎました。

 このSealingが不完全だと、本来、正しい番手のIdle jetを使用していても始動性に困難を来しますし、Fast IdleのAdjustmentも上手くいきません。
 要するに、rallyをStandardな状態で維持する場合には3種用意されている「穴無しIdle Jet」で適応できますが、Tuningしたい場合、ヴァリエーションが豊富な「穴ありIdle Jet」の使用がどうしても必須となりますので、わたしのこの例のようなマイナー加工が必要となる、ということです。或いは、後期型SI 24/24E本体にコンヴァートするか、です。でなければ、先ず正常なアイドリング・セッティングが不可能でしょう。

9/23/2012

rally 200 seat

piaggio genuine rally seat is great shape and very comfortable to ride
 このSeatはrally専用のもので、現車のSeatはCoveringが傷んでいたので、買い直したpiaggio Genuineのものです。

 前回、英国から取り寄せた物で、確か、当時日本円で6,000 yenくらいの激安だったのですが、Seat Coverだけの単品じゃなくて、ちゃんとSeat Frame付きAsseyのpiaggioのPackage入り純正品でした。

 rallyのSeatは、Covering地のColorがDark BlueとBlackの2種が存在してた筈で、これはBlackの方です。
 このrally SeatはPipingの縫い付けラインがこのようにカーブされていて、座ったときにお尻に違物感がなく、Springも硬めで、座り心地というか、股がり心地が大変良いのです。でも、Small Frame vespaから乗り換えると、かなり腰高の印象で、実際、足付きは悪くなりますよ。
Right slot head screw originally but 70's rally seat has white stitch and not black like this
 でも、何故かStrapのColorがDark Blueで、Securing ScrewもPosidriveでしたので、StrapをBlackのに、ScrewもオリジナルどうりにSlot Headのに交換しました。
"PIAGGIO" logo and riveted push release button
 そして、Back Styleの特徴が、このRivet。ココを押してSeatをReleaseします。
 このRivetも純正なのに何故か着いてなかったので、今回オリジナルどうりに取り付けました。最初に所有したrallyには着いてたので、無いと違和感あったのですよね。

 そして、やっぱし"PIAGGIO"のLogoは入ってないと。

 あと、不満は一つだけ - 縫い糸のColorが、本来はWhiteの筈なんですよねー。

a few to restoration completion

 わたしのrally 200の現状です。(先日のCarburettorのJet Setting中でのショット)

 レストレーション完成にはまだ至っておりませんで、vespaマニアックな方がご覧になれば、突っ込みどころ満載状態ではあります。
 でも、この中途半端な状態でも、中々イイ味出てはいます。
 わたしはこの撮影アングル、好きだなー。

 わたしのrallyのEngineは新車時のままのOriginal(打刻No.もFrameとEngineが一致してます)で、載せ換えとかしてませんし、本当にこのEngineがお釈迦にならない限り載せ換えたくはありません。
 日本ではP200のEngineに換装された"Hybrid rally 200"てのが多いですが、あれは「オーバーホールするより、PのEngineに載せ換えた方が安定するし、後々メンテも楽ですよー」などというショップの口車にオーナーが乗せられた結果ではないかと思いますね。特に性能的にrally 200のEngineに問題があるとは思えませんし、rally 200よりもP200のEngineの方が優れているとも思えません(P200はrally 200のUpdate版ではありますが)。きっと、オーバーホールする際に一部のPartsの入手が難しい、ということでしょうが、プロならなんとかできて当たり前だろ。
 そういうOriginal性を無視した、ショップの商売と便宜優先の手法てのは好きじゃないです。そして、そのような車輌が買い取り査定で持ち込まれれば、「あー、Engine載せ換えてますねー、これ。その分、査定下がりますよー」じゃないのか? と。車輌の根本的素性を左右する決定的な部分に関しては、「Original性を維持する」は、「価値を維持する」と同義語だと思います。
 ただし、すぐにOriginalの状態に復帰可能な箇所に関しては、わたしはテキトーにCustomizingしてます。

 Headsetは、何故かSurfacerを塗らずにTop Coat仕上げしてしまったので(当時、なんで端折ったのか思い出せない……)、剥がれてきてますので、CarburettorのSettingが決まって、Engineを実用走行上問題ない状態にできた時点でHeadsetは一旦丸ごと取り外して、一から塗り直し予定で、これから塗料を英国に発注するつもりでいます。ついでに、塗装は他の部分も補修します。

 Handlebar GripのRubberは、GreyのRepro Itemを着けてたんですけど、これが粗悪品だったみたいで、使ってない状態だったのに、こんなに汚れが……洗っても汚れが落ちないので交換予定です。使用してなくても、経年変化の消耗部品てのは他にあるものです。Leverは"Buzetti"のPower Leverで、Chromeメッキの質感はイマイチですが、わたしはこのLeverが昔から最も好きです。

 Floor Railの外側だけが取り付けられていないのは、そもそも他の内側2列のRailもRivet仮留め状態で、そのまま放置状態だったからです。これも、Rivet留めSpecial Toolが届き次第、外側も取り付けて完成させる予定。その際にRubberのColorもGreyにしようかなー、とか。

 Centre Rubber Matは、当初は純正の新品Blackを取り付けてたのですが、この前、SIPにPartsをOrderしたときに、ついでにGreyのを買って、気分でそれに交換してみました。でも、これ、Cheapな薄手のペラペラRubberで、純正の厚みの半分以下、質感最低の粗悪品でっす。なので、直ぐに破れちまうでしょう。Brake PedalのGrey Rubberも同様です。ぱっと見だけのItemでしかありません。

 今や、vespa Parts通販では世界的に大手に成り上がったSIPですが、Online Catalogue上の画像では良さげに見えるReproduction Partsも、中には粗悪品も紛れてますです。ま、他の業者も同様ですけども。
 vespa関連Partsの場合、piaggio純正品を上回るQualityを維持したRepro Itemてのは昔から中々お目に掛かれません。わたしの場合、基本、重要なPartsに関してはpiaggio Genuine Partsに拘って使用しており、Repro Partsの使用は見た目部分に限った限定的選択です。

 あ、今日の京都はお天気よろしくなく、作業Stop中なので、この画像でお茶を濁しました次第ですー。

9/21/2012

firing again with Pinasco 215 Cylinder

 よっしゃ、長期間眠り続けていたEngineに再び火を入れます。

 この前に記事でもUpしてますが、Pinasco 215cc Cylinder Kitを組み付け済みなので、CarburetteorのJet Settingを同時にしながら、始動様子見Testです。
 ちなみに、rally 200はCDI Ignitionなので、Ignition Timingは"Fixed"です。

 Gasolineは、取り敢えず2 Stroke Oilを少々混ぜた(慣らし用にOil濃いめ調整)1 Litter程をFuel Tankに投入。Fuel Tapを"Reserve"にして、GasolineがFloat Chamberに流れてくるのを確かめます。Feed PipeのPackingから若干滲み出しがありましたが、Boltを増し締めしたら即止りました。他に漏れ等はなし。順調。
 2 Stroke Oilも、取り敢えず数百ccをOil Tankに投入。中々OilがTubeの中をCarburettorまで流れてきてくれないので、TubeがFrameの中で噛んでるのかな? と思いましたが、Carburettor側のTubeから口で吸い出ししたら、チュルチュルと無抵抗に流れて来てくれました。
 次に、OilがOil MixerからCarburettorまで送られてくるかを確認。Spark Plugを外して、空Kickで強制送り出しするも、Tube内のAir溜まりを見てると、中々送られていかないです(たぶん、100回以上Kickしないとダメなんじゃないかな)。うーん、ま、いいっか(前もそうだったし)。Oil Mixerのシンプルな構造上、Gearに噛み合ってさえいれば動作はまず間違いないので、今のところ不問とします。
 これで準備完了。

 あ、Batteryも放電させてしまって(当時は新品を下ろしたのに)、現在再生充電中ですが(完璧に放電してしまってるので、普通なら復活は無理かと……でも、試してます)、rally 200の場合、始動にはBatteryは関係ないので、なしでも走行は可能。夜間は無灯火になるのでムリなだけでー(わたしのrallyはFlasher Lamp無しです)。

 Carburettorは、先ず、用意したJetから、Safetyに濃いめSettingからいきますです。
 Pinascoさん推奨に従って、

My First Choice For Jetting:
  • Air Collector Jet: 190/100
  • Mixer: BE3
  • Main jet: 125/100
  • Idle Jet: 50/120 (2.40)
 このSetがN.G.っぽければ、Main Jetの番手を1段低い番手に、Idle Jetの番手を比率の高い番手に、という具合に。

 Spark Plugは、BERU Silverstone S7(NGK 7番相当)。

 Throttle Adjuster Screwは、Full-Closedの位置に、Pilot Adjuster Screwは、基準の1-1/2 Turns Out。この状態を基準に微調整します。

 そして、数回Clankingすると……バキューン、パンパンパンパン……。おお、久しぶりのvespa音。そして、懐かしい排気の臭い。
 案外、あっさり始動してしまいましたー。

 Throttleをブリッピングして、Throttle StopをAdjust。かなりOpen気味でないとEngineストールしてしまう。
 しかし、それ以前にOil Tubeの中のAir溜まりがぜんぜん移動してくれないので、ビビッて一度Engine停止。「うーん、Oil流れてくれてない? それはまずないよなー」とか、原因を探りつつも、再度Kick Startし、Throttleを数回ブリッピングしたら、Airはあっさり消えちゃいました。ThrottleにもOil出てきてるし、Exhaustからも白煙出てるので、Oilに関してはO.K.です。

 ところが、やはりFast Idleが決まらない……Throttle Slide Adjusterをいっぱい締め込んでおかないと、Engineストール。Pilot Adjusterを調整しても濃度状態は然程変化せず、Main Jetからの混合気に頼らないとRev.を維持できない - つまり、Idle Jetの混合気が極端に薄い。一応、2.80も試してみるも、やはり更に薄い。3.00 - 薄過ぎて無理。一旦、rally Originalの2.00にしてみる - 濃いー、カブルー。どういうこと? 2.00から2.40の間てこと? そこまで微妙か? うーん、なんか根本的に何かがおかしい気がする。

 仕方なく、取り敢えず2.40に戻して、Engineの温度が一定に上昇するまで、Throttleを手動で調整してEngine Rev.を維持。Main Jet系は良好みたいです。そして、頃合いを見て、ちょっと走行してみます。おー!よい噴け上がり。加速敏捷!Normalとぜんぜん違う加速感。After Fireもないし、Main Jetは125で良いみたいです。

 でも、やはりFast Idleは取れず。Pilot AdjusterとThrottle Slide Adjusterをいじくって、すったもんだしている間にSpark Plugがかぶり、Engineストールの繰り返し。そして、Spark Plugをチェックしてみると、Oilで濡れ濡れ。Spark Plugの熱価もイマイチみたい。やっぱし9番は必須なのかも? と思い当たる。
 その後もSpark PlugをBERU S7をNGK B6ESに、いろいろ試してみるも、いずれの場合もSpark Plugがかぶってしまって始動性が悪くなるばかりなので、ここは一旦切り上げて、9番Spark Plugを買い出しに。

 その買い出し途中、現状を冷静に整理しながら、いろいろ思案してたのですが、よく考えると、rally 200オリジナルのIdle Jet上にはAir Collector(Air Calibrator Hole) 穴は空いてません。ならば、Idle JetのAir吸入口はどこにあるのか? というと、Carburettor Body上にあるんです。
 画像のIntake横、一番小さい左のBrassに小穴が空いたのが、それ(Air Calibrator for Idle Jet)で、Bodyに固定されていて取り外しはできません(つまり、ただの「空気穴」です)。そして、この穴はCarburettor内部でIdle JetとPilot Adjusterに導通しています。
 これと少し間隔をおいて、右側にあるのがIdle Jetで、そのすぐ右隣りの大きいのがMain Jetです(何れもJet上に穴が空いていて、そこからAirを吸い込みます)。

 この画像のJetように、用意したIdle Jet全てには同様にTopにAir Blead穴が空いていました。現在、入手可能なIdle Jetには、全てにこのAir Blead穴が空けられているようです(rally 200純正用3種を除いて)。
 ということは……ひょっとするとこの今の状態は、Idle JetのAir Blead面積がほぼ2倍になって、Gasolineに対する空気比が異常に高くなっている状態なのではないか? という疑問が。
 そう考えると、Idle Jetの混合気が薄過ぎてFast Idolが取れないことも論理的にきっちり説明がつく。でも、そういうことなら、わざわざJet上にAir Blead穴空けとく必要ないじゃないの? とも。番手の数値もおかしくなるし。それに、そもそも、なんで穴アリ/穴なしの2種が混在してるねん? とも。
 ここで、「ちょっと待てよ、ひょっとして……」と、パシリ道中で思い当るも、それは帰宅後に確かめることにして、一先ず、Spark Plugゲットパシリ完遂を優先。Pinascoさん推奨は、NGK8番:Winter用、9番:Summer用 - なので、お店に在庫のBR8ESとB9ESを購入して戻りました。

 そして帰宅後、思いついた懸念を確かめるべく、早速ネットで画像を検索。ネライは、現行品のDell'orto SI 24/24Eの画像、です。
 すると、「やっぱし……」思った通りでした。
 違うんですよ! rallyのと。
 rallyのSI 24/24EのBodyには在るIdle Jet用のAir Blead穴は、現行品no
SI 24/24Eでは塞がれてるんです! だから、Idle Jet側にAir穴が空けられているんですよ、やっぱり。
 いつからそうなったのか、この箇所をハッキリ視認できる少ない画像から調べてみると、P200用のSI 24/24Eではもう既にそうなってるみたい。なんじゃ、おい、rallyだけかよー。
 そうなると、現行のAir Blead穴空きIdle JetをrallyのSI 24/24Eにそのまま適用すると、これはもう番手もへったくれもなく、想像したとおり、自動的に激薄Idle Jetになってしまう、ってことです。50/120 (2.40)を例にすると、Carburettor Body側のAir Calibratorの100を足して、50/220。つまり実際は、空気比がIdle Jet設定のほぼ倍増の4.40になってたってことです。そりゃ薄す過ぎてFast Idle取れん筈です。
 それを実際に確かめて検証するために、Carburettor Body側のAir穴を仮にガムテープで塞いでみました。
 はい、「当たり!」でした。
 Idle JetのGasoline:Air混合比がなんとかFast Idle取れる範囲にシフトしました。試しにIdle中にこのガムテープを剥がすと、途端にEngineストールします(空気を吸い込んで急激に混合気濃度が下がる為)。確信的原因判明です。

 しかし、このガムテープ塞ぎは仮の不完全な処置で、Throttleからの噴き返しのGasolineに濡れてしまうとペロンと剥がれてしまいます。実用に耐える措置としては不完全に過ぎます。
 そこで、トリッキーな技を繰り出しました。
 先をL字曲げた針金を挿入して、そのL字の先をハンダづけして穴を塞ぎました。これなら穴詰まりはしませんし、針金を取り出せば、元の状態にも戻すことができます。そして、この状態なら、ここから空気が吸い込まれることもありません。(現行品はRivetで塞がれている)

 はぁー、ちょっと勘弁してよー、わたしはわたしのrallyのSI 24/24Eしか知らんがなー。まったく同じCarburettorの品番で、穴あり/穴なしが在るんかよー、判るように品番変えとけよー。やれやれ。
 しかし、早めに気づいてよかったー。永久にIdle取れずにKickし過ぎで右足がおかしくなるとこだったわ。それに、これならわざわざAir FilterのBase Plate加工しなくてよかったのにー。
 てことはですね、rally 200のSI 24/24EでEngine Tuningする場合、このポイントはかなり重要ってことです。P200以降のJettingの実例を参考にしてたら、rallyではIdle Jetだけちぐはぐなことになり、いつまで経ってもFast IdleをSettingできません。

 一方、Spark Plugは、やはりPinascoさん推奨のとおり、NGKで表すところの9番が始動性も燃焼状態も良いっぽいです。

 それでも、今のところ、Fast Idleはなかなか安定させることができませんでした。
 Pilot Adjust Screw@1 1/2 Turns Outを基準として突き詰めてゆくと、3.00では薄過ぎ、2.80でもまだ薄い。2.40で良い感じに近くなるも、しかし一転、今度は若干濃い。てことは、現在手持ちStockが無い、2.40から2.80の間くらいがどうやらBestっぽい。ということは、残るIdle Jetの選択肢は、45/120 (2.67)と52/140 (2.69)の2種のみ。しかも、0.02の違いかよ……ぷはぁー、なんとも微妙ー。
 Pilot Adjust Screwの調整は、Femsatronic Unitが邪魔でScrew Driverが激回し辛い。もっと楽にAdjustできる方法を編み出したい。

 追加Idle Jetをオーダーすることにして、それらが届くまではFast Idleが最も安定する2.40でなんとかFine Settingを続行してみますー。


9/20/2012

repairing inside of fuel tank - step 3

 Step 3は、Coatingなのですが……。

 結局、今回も熟考の末、CoatingはPassしました。
 というのも、このCoatingの施行は非常にRiskyな作業なんですよね。

 調べると、このCoating剤は一般に入手可能なもので数種類あるのですが、"POR 15"というのが、クルマ&バイクのレストレーションでは現在最もポピュラーかと思います。当初、わたしもこのPOR 15を使用しようと考えていました。
 これは1液性のEpoxy系塗料で、空気中の水分に反応して硬化、定着後は半永久的に錆をシャットアウトする、というものです。Gasoline Tank内をCoatingするのですから、当然耐油性で、Archolにも侵されない。ということは、施行を失敗したときにはどうやって剥がすのか? という疑問が浮びます。やはり、普通のシンナー等は効き目がなく、専用の剥離剤をしようしないといけない。しかも、それは難しい作業です。

 で、今回のStep 2までの作業なのですが、ご紹介した通り、錆についてはOxisolv処理で問題ありません。がしかし、それ以前に、変質Gasolineの付着物がそれはしつこく、Cleaning処理によって油分は抜けて、既に不活性の付着物なのですが(つまり、糟の状態)、これが全て完全には落ちてくれないのです。
 もう少し時間を掛ければ全部落とせるとは思うのですが、考え方を変えて、一度にやるよりも、数回に分けてやった方が楽じゃないのか? と。と言うのも、付着物はもう不活性な状態ですので、こびり付いているだけのただのゴミですし、Tank内がCleanなGasolineで満たされている状態で管理されていれば、前回のようなことにはならないし、錆の発生もほぼ起こらない筈だからです。そもそも、鉄とGasolineは遠い親戚関係なので。
 中途半端な下処理の上にCoatingを強行すれば、失敗の確率は高くなります。失敗してしまうと、そのリカバリー作業は、レストレーションと同等、或いはそれ以上に大変なことになり、更にTankは使用できなくなってしまいます。また、POR 15は予算的にも結構お高い品なのです。

 ということで、わたしは、Coatingに関してはもう少し予備のお勉強と十分な下準備をして、次回のテーマにしようと思いました。
 予備のTankを用意しておく、とか、そういう余裕がないといけないかな、と。
 そういう訳で、Step 3作業の紹介は、今回はなしです。すいません。

 集中して作業したので、画像撮り忘れで、もうTankはBodyに装着済みです。
 Fuel Tapは、SIP製の"Fast Flow"という、純正品よりも時間あたりの流量が多いUp-Grade品に交換しました。
 Oil Tankの"Sight Grass" Gaugeは、完全に割れてはいなかったのですが、亀裂が確認できたので、純正新品に交換。Oil漏れ対策は、Loctite #542をネジ部に塗布して対策しました。たぶん、これで割れない限り漏れは起こらない筈です。
 Tankは、今回の作業で塗装が一部剥がれたり、少しくたびれてしまったのですが、それも、また塗料を入手後に様子を見て補修したいと思います。

 つまり、既にHoseもCarburettorまで接続済み。あとは、Engine始動Testです。

9/19/2012

"vespa rally 200" or "vespa 200 rally"?

 正式名称は、"vespa rally 200"なのか、それとも、"vespa 200 rally"なのか?

 Owners ManualとBodyのBadgeには"rally 200"とあります。
 一方、CatalogueやService Manualなどの印刷物には、逆の"200 rally"とあります。
 一体、どっちが正式名称なんでしょうねー?
 ……なんて、今更くだらないことに気づきました。
 わたしは"rally 200"派ですけども。
 このBlogのアクセスも徐々に上がってきたので、ご意見、ご感想がありましたら、コメント欄からご遠慮なくどうぞ。
 vespaが好きな方、興味をお持ちの方、同じくvespa rallyにお乗りの方が居られましたら、仲よくしてやってください。

jet setting - Dell'orto SI 24/24E carb

 CylinderをBore-UpしてTuningすると、当然ながら、排気量Upで高出力になりますから、吸気&排気共、マッチングを図らねばなりません。

 排気系は取り敢えずは後回しでもよしとしても、燃料を供給する一次側のCarburettorがオリジナルのSettingのままでは燃料供給不足となってしまいます。
 ですので、CarburettorのJetを交換して、燃料/空気比をCylinder側に合わせてTuningします。

 CarburettorのSettingは、季節や、機械的な状態など、個体差も含めてセンシティブなので、一概に正しい決まりというのはありませんが、下記を大凡の目安として、Jetを揃えておいて、それぞれの組み合わせを試しながら、最上のSettingを見つけ出さなくてはなりません。

 Dell'orto SIは、Bike用としては珍しい"Down-Draft" TypeのCarburettorで、Main JetはNeedle Jetではありません。クルマ用で有名なWebberなどと同じく、ThrottleのOpeningの度合いに合わせて複数のJetを組み合わせた"Pre-Set" Jetなのですね。

 Main Jet系は、

Top: Air Collecotor Jet
Middle: Mixer Jet
Bottom: Main Jet

 の3段組みで、左の画像のようにバラバラになります。
 これらを差し込んでくっつけて、カタチとしては1個の体にした状態でCarburettorに装着します。

 機能としては、上から空気を吸い込み、下から燃料を吸い込み、それらを真ん中で混合、霧化してNozzleからベンチュリー噴射、て感じですかね。
 要するに、Air Collector JetとMain Jetは、空気と燃料の総量制御装置で、Mixerは、その空気と燃料を混ぜて霧化する装置。
Left: Idle Jet, Middle: Air Collector Jet + Mixer + Main Jet, Left: Choke Jet
 Idle JetとChoke Jetはそれぞれ別体で、Choke JetはMixerを省略したもの、Idle Jetはそれ単体でAir Collector + Mixer + Main Jetが一体になったもの、というか、"Mixer"と考えればわかりやすいです。

 名称ですが、Idle Jetとわたしは表記してますが、"Slow-Running Jet"とも言いますし、"Pilot Jet"と呼ばれたりもします。
 同様に、Choke Jetも、"Starter Jet"とも言います。

 さて、先ず、rally 200(VSE1T)オリジナルのCarburettorのJet Settingはというと:
rally 200 Factory Standard - Carburettor Type: Dell'orto SI 24/24E
  • Air Collector Jet: 160/100
  • Mixer: BE3
  • Main Jet: 116/100
  • Idle Jet: 50/100 (2.00) *No Air Inlet Hole
  • Choke Jet: 60/100
です。

 そして、Pinascoさん推奨の215cc Kitに交換後のJet Settingは:
rally 200 w/Pinasco 215cc Cylinder Kit - Carburettor Type: Dell'orto SI 24/24E
  • Air Collector Jet: 190/100
  • Mixer: BE3
  • Main Jet: 118/100 to 125/100
  • Idle Jet: 50/120 (2.40) to 55/160 (2.92)
らしいです。

 今回、Settingの為にわたしが予め用意したJetは下記のものです:
  • Air Collector Jet: 190/100
  • Main jet: 116/100、118/100, 120/100, 122/100, 125/100, 130/100
  • Idle Jet: 50/100 (2.00)、50/120 (2.40), 50/140 (2.80), 40/120 (3.00)
 * Mixerは、BE3そのままで問題ないようなので、用意しませんでした。
 * Idle Jetは、オリジナルの2.00を含めて、薄めの3種を用意して、大まかに4段階としました。
 * Choke Jetは、効果的に交換の必要性がありません。
 * Idle Jetの"Air Calibrator Jet"は、rally 200 Original SI 24/24Eの場合、交換不可能なCarburettor Body固定式です。

 ▲ Air Collector Jetは、数字が大きくなる程、通過する空気量が増します。
 ▲ Main Jetは、数字が大きくなる程、通過する燃料が増します。
 ▲ Idle Jetは、分母÷分子の数値が大きくなる程、通過する燃料の空気比率が高くなります(混合気が薄くなる)。

 "Bore-Up" Tuningした場合、簡単に言うと、「必要混合気吸入量が増える分、全体的に「空気:燃料」の比率を濃いめにしなさい」 - Main Jetの番手を上げる。しかし、Main Jetだけ番手を上げると、エマルジョン・バランスが崩れるので、併せてAir Corrector Jetの番手も上げる。
 ところが、SI Typeの場合、Main JetはThrottle Slide Valveが1/2 Open少し手前からFully-Open時に主に影響を及ぼし、それ以下では然程影響がないのです(つまり、Throttle Slide Valveの開度によるThrottleのヴェンチュリー効果に相対する)。
 一方、Idle JetはThrottle-OFF時からFull-Throttleまで全域に渡って常に一定の影響を及ぼします(Idle Jetの排出穴[Pilot Adjuster]がThrottle Slide Valveより以前のEngine側に近い部分にある為)。
 Float Chamberからの燃料の供給経路は2系統あって、1つはChoke Jet専用。もう1つはMain Jet系で、順番で言うと、Idle Jetは燃料がMain Jetを通過した後にあります。つまり、Idle Jetへの燃料流入量の多/少は、Main JetのSizeに依存します。
 Main Jetの番手を上げて、Idle jetがオリジナルの"2.00"のままだと、Idle JetはMain JetのSizeが拡大された影響を受け、全回転域で混合気が濃くなり過ぎ、特にアイドリングのAdjustが不安定になります。
 この対策として、Idle Jetの番手を上げて、燃料を薄すめに設定してPreset調整する - ということです。例えば、走行中にThrottleをゼロに絞ったとき、一旦Engineの回転が落ちると同時に連動してRev.が若干上がる、というような事例の場合、Idle Jetが濃い - ということですね。逆に、Engineストールする場合は、Idle Jetが薄い - ということです。

 以上がだいたいのわたしの大雑把なSI Carburettor Settingの理解です。間違っているかも知れませんが、シンプルにわかり易く説明すると、こういうことなのだと。要は、JetのSettingは、全回転域に渡って良好な燃焼状態で、バランスのとれたJetのBestの組み合わせを見つけ出す、ということです。

 だいたい、メーカーやTunerは、濃いめの混合気Settingを推奨します。何故なら、薄めの混合気Settingは2-Stroke EngineにとってはOil切れのリスクを伴うからです。逆に、Userは薄めの混合気Settingに傾倒しがちです。何故なら、薄めのSettingの方が実際は高回転まで吹けが良いからです。
 わたしのrally 200のように分離給油Typeの場合、2 Stroke Oilの混合比は指定の2%よりも安全策で若干濃いめに設定されていると思われます。この傾向の理由はもう一つあって、昔のOilは、現在ポピュラーな化学合成Oilではなく、鉱物Oilが主流で、それらは粘度が高いものでした。現在主流の化学合成Oilの場合、昔の鉱物Oilと比較すると粘度はかなり低い。つまり、現在の化学合成Oilを使用すると、より多くのOilをOil Mixerが供給しがち、ということです。なので、分離給油Typeの場合、Oil切れリスクについては、それほど神経質になる必要もないかなー、とは思います。

 Jetの価格は案外安くはないので、Air CollectorとIdle Jetは今回予算削減の狙い撃ち購入分です。いずれにせよ、安全策をとって、濃いめSettingから順番に組み合わせを試してみます。

 もう一つ、CarburettorのSettingと併せて、Spark Plugについても同様にSettingせねばなりません。
 rally 200のオリジナルの場合、NGKの番手でいうと、B6ESになります。これも、Pinasco 215 Kit装着の場合、Pinascoさん推奨では「9番にせよ」とあります。「熱価を"Cold"側に修正しなされ」ということですね。
 Spark Plugも季節(気候温度条件)や、車輌の個別の状態によってマッチングに差があるので、Testして様子を見て次第と思います。3番手Upはちょっと大袈裟かなー、とか思います。
 ストック・パーツをゴソゴソしてたら、何故か新品のBeru製の"Silverstone"てのが出てきて、それが一番手UpのNGK-7相当だったので、取り敢えず、それで試してみます。

9/18/2012

Maisto 1/18 vespa rally 200 miniature model

 いろいろとPartsをオーダーしなければいけなかったので、ついでにMiniature Modelも購入しときました。

 vespaのMiniature Modelというと、これまで大抵、一般的に人気のある丸っこいOld vespa Modelがメインで、rally 200てのはClassicとModern vespaの中間的なModelなので、デザイン的魅力に欠けるのか、ストリームの枠外に外れてた気がします。
 piaggio公認のMaisto製1/18 scaleで、まぁまぁ雰囲気よく出来ています。
 ColorはRedですけど、それはま、いいか。あ、わたしにとっての最初のrally 200(1台目)はRedだったんだった。あと、Greyのもあるみたいで、それも同時注文したんですけど、只今欠品中でしたー。

 わたしの現所有車と同じGreenに塗り直す?(笑)それも、これからの秋の夜長を楽しむのに良さげな案。でも、White lineを入れるのがむずかしそう。
 価格は昨今の円高&Euro安で、日本円にして500 yenほどでした。
 
 他に届いたPartsで、Jet関係も一揃えできたし、φ5.2 mmのFloat Needleも届いて、COSA Float Chamber Lidと組み合わせて、Carburettor Settingの下準備は完成。Carburettor本体内部の詰まりも解決。あとはFuel & Oil Tankのレストアの仕上がり次第ですが、ここ最近、お天気がよろしくないので作業を中断して見合わせてます。

original literature collection

 レストレーション、メンテナンスには資料は欠かせません。

 何と言っても、"Must Have"は、piaggio Original版資料。
 これまで、わたしが収集したものをご紹介します。
piaggio Original rally 200 Owners Manual
 先ずはOwners Manual。1972-(正確な年代不明)。全43 Pages。
 新車を購入したら必ず着いてくるけど、中古車だと大抵欠品の代表もの。わたしは現車所有は1台ですが、Manualは3台分所有(笑)。
 仕向け国の仕様に基づいた別刷りの付録説明書も数部着いていて、Batteryの対応種表やら、Oil Mixerの説明やら、案外有用な付随情報ですが、これらは紛失していることが多いですね。わたしの所有している付録はU.K.版だと思います。
piaggio Original 1974 Spare Parts Catalogue
 これは、Original Spare Parts Catalogue。1974年A4版。全102 Pages。
 piaggio Dealer専用のもので、図版はBack Groundが水色のColor刷りでArt感があり、案外豪華です。当時Line-UpのLarge Frame Model系数種と共用です。
 これがある/なしでは、Partsの確認や、発注の確実性がぜんぜん違う。Copy版は出回ってますし、入手は容易かと思いますが、このOriginal版は"Hard to find"ですね。
piaggio Original 1977 Service Station Manual
 レストアラー"Must Have"、Original Service Station Manual。1977年版。全182 Pages。
 これもpiaggio Dealer専用のもので、vespa全車種のData詳細と、Disassembly/Assemblyの正しい手順とその方法、Special Toolの詳細と使用箇所の解説、各部のクリアランス基準設定、などなど、つまり、「鬼に金棒」の修理のBible書であります。厚さ17 mmの重厚もの。
 正にvespaレストアラーにとっての「キラー書」なのですが、これのCopy版はあまり出回ってないと思います。これが無いと、素人はvespa専門ショップさんに勝てません。なにもプロと対抗せんでもー(笑)。
US piaggio Original Literatures
 これらは、北米仕様のvespaの仕様書で、US piaggio Dealer向けのもの。
 US Modelは、Euro圏仕様とは大幅に異なる仕様が付加されている為、別冊仕様説明書。勿論、US ModelだけのWiring Diagramも掲載。
 激入手困難の大変珍しいものです。
piaggio Original Catalogues (UK Version)
 最後に、piaggio Original Catalogue。
 UK版で、当時のvespa全車種Line-Up三つ折りA4版一冊と、rally 200だけの別冊版。
 当時のカラー印刷がすごーくよい雰囲気。

9/16/2012

carburettor fitting problem

 CarburettorのFittingに関する問題点です。

 vespaの場合、InletとExhaustの接続部からのOil漏れをしている個体が多いです。その原因は接続部の緩み、Gasket不良などによるものでしょうが、わたしとしてはそういう問題はクリアしておきたかった。しかし、前回のレストアの途上でのテスト走行時には上手くいきませんでした。
 情けないことに、こういうことになっておりました。あまり見たい光景ではないですね。でも、これでもギリギリOil-Lineは確保されていたので、焼き付きなどの大事には至ってはいません。

 この原因は、組み付けたわたし本人がはっきり自覚しておりまして、完全に締め付けTorque不足によるものです。しかし、それには理由があって、規定Torqueで締め付けると、何故かCarburettor Bodyが歪んで、Throttle Slide Valveが固着してしまい、動かなくなったのです(特にClutch Side側)。このNutの規定締め付けTorqueは結構高めで、1.6 - 2.0kgmです。その為、敢てThrottle Slideが自由になる強さで渋々緩めに締め付けざるを得なかった、という訳です。
 当初、もっとも怪しいと判断した、Carburettor - Box - Crank Caseの各Seat面ですが、歪みはありませんでした。他の関係箇所もいろいろ調べてみたのですが、結局、当時ははっきりした原因が掴めず、原因不明のまま、その後はvespaとは無関係の事由により長期間放置となっていました。

 で、今回はここの問題をきれいさっぱり解決しなければいけませんでした。
 ネットで検索して調べてみると、或るvespa専門店のBlogで正に同様の症例が紹介されていまして、そのShopの見解では、「Carburettor Bodyの歪みが原因」と判断されて、あっさり新品Carburetorに交換修理されていました。果たして、それで本当に改善、解決したのでしょうか?

 Crank CaseからCarburettor Boxごと取り外して、取り付け時の関係性をよくよく観察していたら、一つ気づいた点がありました。
 Carburettor Body - Carburettor Box - Crank Case、これらの位置合わせは、Crank Caseに捩じ込まれたStudがCarbretorとBoxのこのStud穴を貫通することで位置が決まります。BoxはCrank Caseに開けられた穴に別のScrewで留めて固定します。ここまでは問題ありません。
 問題は、Box内にCarburettorをマウントする時に、実はもう一点、CarburettorのFloat Chamber下にはOver Flow Pipeがあって、そのPipeがBoxを貫通する箇所なんです。
 画像はCarburettorの底面ですが、当該Pipeは一番下に見えるFloat Chamber前部の底部にある垂直Pipeのことです。

 Box側には、そのPipeの受け台座があり、Carburettor全体の位置決めの一つにもなっています。
 Screw Driverで示しているのが、その台座部分です。

 で、この台座とCarburettorとの間にRubber Grommetを挟んでマウントするのですが、その専用GrommetはDell'ortoのRepair Gasket Kitに入っています。わたしは、当初、その新品Grommetを使用していました。ところが、このGrommetの厚みが分厚く、本締め付け前の仮組み状態では、Carburettor BodyはSeat面がBoxと密着せず、Clutch側が浮いて傾いでしまいます。しかし、Rubber Grommetは金属とは違って柔軟ですので、わたしは本締めすれば厚みは潰れて問題ないのだろうと思い込んでいました。だって、これは純正の交換部品なのですから。
 ところが、実際は、このGrommetはあまりにも厚過ぎだったのです。言わば、「枕が高過ぎ」なのです。

 わたしの立てた仮説を検証するため、Boxの台座TopからCarburettor側のPipeのSeat面の隙間(つまりGrommetに必要とされる厚み)を実計測してみると、仮組状態でおよそ2.0mmでした。もし、2.0mmのGrommetを使用して本締めすれば、この間隔は締め付け圧力により僅かにGrommet諸共詰まって、密着度合いはちょうどよいくらいになる筈です。
 そして、Dell'ortoのGrommetの厚みを測ると、その2倍の4.0mm。つまり、本締めしたとき、このGrommetは2.0mm以上、厚みが潰れてくれないといけないことになります。しかし、このGrommetは案外硬質で、弾力のかなり強いタイプなのでした。
Warning!: Do not use over-thicker grommet @ this point. It makes carburettor body distorted and becomes the cause that attachment is poor.
 そこで、試しに、わたしの手持ちのRubber Grommetで、内径だけが合致したまったくvespaとは関係ない別のものを2.0mmの厚みにCutして、それを仮に使用して、Fittingを試してみたのです。
 結果は、これがドンピシャでした。
 本締めしてもThrottle Slideはまったく固着せずに抵抗なく動作しますし、Nut x 2個共、ちゃんと規定Torqueを掛けて本締めできました。至極正常な状態です。

 このGrommetの役割は、緩衝材として、また、Boxの密閉性を保つ為、くらいしか、どう考えても他には役割はないと思われます。つまり、メカニカルな機能のサポートを担っているものでもありませんし、特に大きな重要性はないわけです。それ故に当初はまったく問題視しておらず、それが逆に盲点になってしまっていました。
 最初のオリジナルの状態からバラした時、思い返せば、ここに挟まれていたのはRubber Grommetではなく、薄いFiber Washerではなかったか? とも思い当たりました。それはもうとっくの昔に捨ててしまったので確信はありませんが。
 このGrommetの箇所は、Carburettor取り付けNutからは離れた位置にあり、締め付けTorqueが直接は掛かりません。その為、締め付けTorqueが掛かったとき、Grommetの不用な厚みが抵抗になった分、Torqueが分散してCarburettor本体の方に無理な圧力が掛かってしまう、という訳です。
 とにかく、Dell'orto純正のGrommetの厚みと、その弾性が大きな抵抗となっていたことがCarburettor取り付け締め付け不良の直接の原因だったのでした。

 思いますに、この箇所の隙間(Grommetに必要とされる適正な厚み)というのは、CarburettorとBoxとの組み合わせ、それぞれの生産公差による誤差を考え合わせたとき、個体によってはある程度のバラつきが発生するのではないか? と。SI Type Carburettorは、口径違いで数種存在しますしね。最後にGrommet自体の弾力の問題です。
 ともあれ、このGrommetたった一つの問題で、Assembly後の結果は大きな差になって現われてしまう、ということでして。

 さて、Carburettor Bodyが勝手に歪むでしょうか?(Throttle Slide Valveが固着する程に) それはEngineの熱の影響で?(まさか)それとも、まったく何の原因もなしに? Carburettorはそんなに精度が低く製造されている?(まさか、まさか) 歪みの原因は不明のまま放置プレイで修理完遂?
 「Carburettorを新品に交換したら直りました」て……偶々新しいCarburettorとGrommetとの相性がドンズバだったのかしらー?(秘技宝くじ的修理法?)

9/15/2012

float chamber lid - rally 200 vs COSA

 COSA Float Chamber Lidさん、お迎えしました。
 未開封のpiaggio Genuine N.O.S.品でした。1994年12月のパッケージングになってますね。ありがたやー。

 なんか、勿体ない気もしないでもないのですが、早速開封して、rally 200オリジナルのと比較検証です。
Dell'orto SI Carburettor Float Chamber Lid - Left: COSA, Right: rally 200
 Top Cap取り付けScrewの台座の出っ張りがCOSAの方にはありますね。

 Feed Pipeからの最初のGasoline流入口はrally 200の方が広いですが、実はこれはわたしが極限まで切削拡大加工したからで、本来のrally 200のオリジナルはこのCOSAのよりももっと狭いです。この、Poolまでの流入経路に関しては、わたしが加工したrally 200の方がCOSAのよりも面積的には広いです。でも、ここだけ広げても殆ど意味ないんですけどね(笑)。この部分の外側がCOSAの方は肉盛りされて、しっかりと分厚く造り直されて厚みに余裕があるので、やろうと思えば更に内径を切削拡大加工できそうです。

 上の画像ではわかり難いですが、PoolのTopからFloat Needle ValveへのGasoline流入縦穴経路の内径もCOSAの方が大きく、COSA @ φ3.0mm、rally 200 @ φ2.0mmです。
Dell'orto SI Carburettor Float Chamber Lid - Left: COSA, Right: rally 200
 うーん、この画像もなんか微妙でわかりにくいのですが、Float Needle Valveの収まるSleeve(Brass)の内径がCOSAの方が大きく、COSA @ φ5.2mm、rally 200 @ φ4.5mmのFloat Needle Valve用で、Needle Valveは互換なしです。

 まぁ、違いと言っても、たったこんだけのことなんですが、Gasoline流入経路が僅かでも拡大されることによって、高出力時の燃料不足による息突きを防止できる、というわけです。経路拡大のパーセンテージは、これでもかなりのUpになります。
 これでも足りなきゃ、Lidに下駄(Spacer)を噛まして、嵩上げしてFloat Chamberの容積Up、という裏技もありますが、Race Useでもない限り、Street Useでは不用でしょう。。

 で、現在のわたしのCarburettorの状況はというと、一旦仕上げたつもりだったんですが、チェックしてたら、Idol Jet系統の通路がドン詰まっていることが判明して、再度Cleaning中です(パイプ・クリーナードにドボンチョ)。
 

9/14/2012

repairing inside of fuel tank - step 2-2

 只今、鋭意処理作業継続中のFuel Tankですが、前にも紹介したように、rallyのOil TankはFuel Tankと一体の鉄製です。なので、こちらも洗浄、錆び取り処理をしておかなくては手抜かりというものですよね。

 実は過去の最初のレストア時には、このOil Tankの方は手を付けないでいました。というのも、内容物がOilということもあり、錆に対しては耐性的に問題ないだろう、という判断と、実際、キレイだったからです。でも、Oilも放置すれば酸化しますし、Tankの中の汚れもある程度は蓄積されている筈ですので、今回は処理実行してます。ただし、こっちは程度的には軽度なのは間違いないので、Fuel Tankの方よりも遥かに楽です。しかし、Fuel Tankの処理と同時並行で、というわけにもいかないんですよね、これが。なので、作業時間的には2倍の手間ではあります。
 で、Oil Tankを洗浄しますと、やはり、何かの糟とか、内部から出てきます。やっておいて正解です。

 さて、Fuel Tankの方の処理もほぼ大詰めなのですが、やはり、変質Gasolineの層の付着はしつこくも強力で、こいつの処理に時間が掛かりますです。
 まぁ、だいたいどのようになるのか、途中報告的画像を。
Before
After

 はい、あのFuel Tank給油口とLid裏もこのように見事に復活しています。
 Before画像を見たあなた、Afterの状態が信じられない? でも、これは"Non-Fiction"です。決して塗装して誤摩化したのではないですよ。これが亜鉛皮膜形成後のわたしの言う「鯖色」仕上がりです。Sand PaperもWire Brushも使用しませんでしたし、マシーンの力技のSand Blastもしてません。使用したのは、パイプ・クリーナーと、Oxisolvと、水と、使い古しの歯ブラシ。
 これがOxisolvの実力っちゅーもんなんです。目に見えて手の届く範囲のところについては、洗浄も、もろもろの作業も容易なので、仕上がりはほぼParfectです。乾燥させた後は、表面の層には亜鉛皮膜が形成されていますので、しかるべき保管状態の管理を怠らなければ放置しても問題ありません。

 他にも、わたしはわたしのrallyの鉄部のほぼ全てを(錆が発生していない部位についても)、このようにOxisolvで徹底的に下地処理した上でPrimer塗装しました。なので、防腐素地処理には並々ならぬ心血を注いでいるのがおわかりいただけると思います。

 思いますに、クルマやバイクのRestorationというのは、板金処理以外でも下処理の良し悪し次第で、その後ボロが露呈するかが決まります。下処理がしっかりしていないと、いくら上塗りの化粧を美しくしたところで、その化粧は遅かれ早かれ剥がれ落ちて元の状態に帰してしまいます。何故なら、上塗りの塗膜は決して錆を閉じ込めてはくれないからです。しかし、下処理は地味で作業としては面白味に欠け、時間も掛かり、根気のいる作業です。
 一般的にショップで販売されている「レストア済み」車輌で、よく「当店ではSand Blastで錆落としした上で塗装しております!」と、さも自慢げに謳っていますけれども、それは逆に手抜かりもいいとこです。何故なら、下地処理(亜鉛皮膜形成)を施していない鉄というのは、丸裸同然ということなんです。実際に鉄をSand Blastした経験がある人ならよくご存知だと思いますが、即、錆び始めます。そのままその上に塗装しても、塗膜には実は細かい穴がいっぱいあって、空気や水を通します。なので、そのうちに塗膜の下で錆び始め、次第にいわゆる「浮き錆び」が起こり始めます。即ち、防腐対策がゼロの上に、更に錆びに対して無防備な状態で仕上げた、ということです。「どうぞ、お腐りください」仕上げです。逆に、素地下地処理がしっかりしていれば、上塗りなんかは少々下手クソでも、それはいつでもやり直し修正が簡易で、そういった作業は下地処理の最初からやり直すことと比較すれば楽なものです。
 「Panelの処理で、Sand Blastの次の行程はどうされてますか?」と聞いてみてください。「プライマーを吹きます」と答えが返ってきたら、プロのレストアラーとしては落第です。

 でもでも、わたしは錆び取り専門業者じゃありません。あくまで一介のD.I.Y. Restorerでしかありませんよ(処理依頼を発注しないでね!)。

air filter tips

 ちょっとGenuine piaggio Air Filterについて、です。

 rallyのDell'orto SI 24/24E Caburettor用のAir Filterは、何故か2 Versionあります。
Top View: #131081 & #990331
Bottom View: #131081 & #990331
 画像の2 Typeともpiaggio純正品。

 画像の上の#131081は、Main JetとIdol Jetの真上のスペース(♡型の部位)が塞がれ、サイドに僅かに隙間を設けてありますが、下の#990331の方は真上に穴が開けられています。
 逆に、#131081にはIdol JetのAir Calibrattor真上に位置する部分に切り欠きがありますが、#990331の方にはその切り欠きはありません。
 #131081のTypeは、恐らく、仕向国の排ガス規制に適応させるためのDe-Tune Versionかと思われます。実際、このTypeを下の#990331のように穴空け加工すると、Idol JetとMain Jetの空気吸い込み量が増しますので、Carburettorの混合気に影響を及ぼします。
 例として、Part #違いで比較してみましたが、同じPart #でも穴のある/なしが存在するようです。

 ちなみに、Part #の他にもpiaggioのLogoマークや意味不明の模様、番号がありますが、それらはBase PlateのCastingのロットを表しているのだと思います。画像の#131081には"1"と刻まれており、恐らく最初のロットの1個なのでしょう(わたしのrally 200現車に付属していたオリジナル)。たぶん、#131081は既に廃番で、#990331が現在のPart #になっていると思います。

 そして、このrallyのAir Filterは丸ごと洗浄後の使い回し、或いは、汚れたら使い捨てのオーナーお任せTypeです。

 このAir Filterの構造は、Filter ElementをTop(Steel) PlateとBase Plate(Aluminium) でサンドイッチし、Rivetでかしめてあるだけの安直な造りで、3 Partsだけで成り立っています。Filter Elementは完全には固定されておらず、ちょっと指で押すだけで内側にフニャとズレまくりです。
 #131081の方は耐用年数超過、廃棄処分相当の物。これをRivetを外して分解しますと、上の画像のようになります。(構造を理解するために)

 Filter Elementはロール状に巻かれて、ただ単に上下のPlateで挟み込まれているだけなので(Elementの繋ぎ部分のみ接着されている)、上下Plateとの接点は隙間だらけで、そこから結構な量の塵やゴミの類がFilter内部にまで入り込み(つまり、CarburettorのThrottleにまで直行)、あまりにも本来のFilterとしての意味を果たしていません。なんともヤワで情けない代物です。

 そこで、新品を下ろすなら、その前に、ElementとPlateとの上下の隙間を耐油性Sealerで埋めてSealingしておきます。そうすると、隙間がなくなり、ゴミ流入をほぼ完全に防げると共に、Filter Element全体の強度も上がるのです。
Seam sealed - Top & bottom of filter element
 Grey ColorのSealerを充填して仕上げたので、ちょっと画像ではわかりにくいかと思いますが、見た目も張りがあって、しっかりシャキッとした感じに見えるでしょ?

 SI TypeのCarburettorには、この純正Air Filter以外には選択肢がありません。なので、一工夫Tuningというわけです。或いは、Element素材単体が入手可能ならば、市販の高級Elementを移植、という加工も不可能ではありません。また或いは、この純正Air Filterは丸ごと取っ払って、汎用の市販Sport TypeのAir FilterをCarburettor BoxのAir Inlet開口部に直着けするか、ですね。

 私的には、このAir Filter、合理性があまり感じられないなんとも不思議な造形で、おもちゃチックでもあり、そういうところはvespaらしくて好きなんですけどね。
All jets top space cleared
 P.S. Pinasco 215cc Cylinderも組んだことなので、Carburettorの性能を最大限引き出せるように、最終的にAir Cleanerは全てのJet上のスペースをクリアさせるように手を加えてみました。

9/12/2012

installing Pinasco 215 cylinder kit

 Fuel Tankのレストア作業にまだ少々時間が掛かるので、薬品作用の待ち時間を利用し、平行してPinaso 215さんを組んでみました。

 手が汚れてしまったので、バラシ撮影は割愛しました。すいません。
 ちなみに、OriginalのCylinder & Pistonは、前回のバラシで確認したときと同じく再使用可能な素晴らしいコンディションでした。
Pinasco large size piston installed
 先ずはPistonを組みつけ。
 Gudgeon Pinには初期馴染み滑走のためにモリブデンのペーストを塗ってます。
 Circlip Prierが何故かMy Tool Boxに外掛けのしか見つからなくて、慌てて内掛け用のを買いパシリする羽目に。
 Gasketを入れるのを忘れてないか確認、CylinderとPistonに薄く2 Stroke Oilを塗って、CylinderをStudに通してInstall。

 アルミのCylinderは軽いですね。rallyオリジナルのCylinderは鉄チンなので、重いのなんの(Headはアルミ)。重量は、Pinasco 215はオリジナル鉄チンの約1/3くらいの軽さかなー。
 ちなみに、Crank Case側のPort加工Fine Tuneは施していません。Crankもオリジナルのままだし、今回は、いわゆる"Bolt-On"「ポン付け」簡単お手軽交換です。
 Parts点数も少なく、組み付けは特に難しいことはありませんで、基本的な構造を理解している人なら問題なくできる筈です。4 Stroke Engineと違って、2 Stroke Engineをいじる場合、Head上にあるのはSpark Plugだけですので、心臓部であるにも関わらず最もイージーな作業かと思います。
 Pistonの向きを正しく(Topの△MarkingをExhaust Port側に)、Piston Ringを正しく取り付ける、くらいでしょうか。

 Special Toolは、Piston Ring Compressorはなくても指で押しとけばいいけど、確実性を高める為に、Circlip PrierとTorque Wrenchは持ってた方がいいです(他の箇所のメンテでも多用しますしね)。
Beautiful aluminium cylinder
 オリジナルCylinderは鉄チンだから、どうしても外観は錆っぽいですが、アルミだと見た目がキレイ。
 ……ん……でも、なんかちょっと図体デカくない? 気のせい?
Pinasco cylinder & head slightly big than piaggio original
 Pinasco 215 Kitに付属のInstallation Manualによりますと、Cylinder Headの締め付けトルクは2.0kgmとなっていましたが、「アルミCylinderにいきなり2.0kgmてHeavy過ぎない?」と思い、なんとなく躊躇。取り敢えず、1.6kgmで締め付けておいて、Test始動前にまた若干増し締めしようと思います。
 当然ながら、締め付けはTorqueが均等になるように少しづつ十字を切る順番で。CylinderとHeadの合わせ面には「グリースを薄く塗っておいてね」とManualにあったので、ココもMoly Greaseを塗布しときました。
Cylinder head shroud fit very tight to Pinasco cylinder
 Cylinder Head Coverを取り付けてしまうと、もうアルミCylinderの勇姿は隠れちゃいますね。

 そして、やはり、PinascoのCylinder HeadのCooling Fin部分がrallyのオリジナルよりも若干嵩が高く、Cylinder Head Coverがキツキツで……(やっぱ、全体的にもデカいやん)……何とか着きましたけど、Flywheel Coverと共締めのScrewが1個、位置が合わなくなってしまい、取り付けられませんでした(ちょっと細工したら着きそうなので、これもまた次回にします)。やっぱし、100%無加工では最終的に仕上がらないところがイタリアン。

 取り敢えず、CarburetorもBoxからAssyで取り付けて、一応、カタチにしておきました(中途半端にバラシたまんま放置すると、その間にScrew類などの細かなPartsを紛失してしまったりするので)。
 車体を移動可能なようにTyreも着けておきたかったから、Exhaust Pipeも取り付けましたが、私的懸案の「エキパイ漏れ」はこれでもうなくなるかなー。
 見た目、カタチにはなってるけど、今直ぐに始動テストできないのがもどかしいところ。空Crankingテストは問題ありませんでした。

 Carburetor Box Coverは塗り直してますが、このGreyの色見、日本のスプレー缶では販売されていない微妙な色です(ハッキリ言ってダサいネズミ色なので、作っても一般的には不評で売れないでしょう)。でも、わざわざ調合してもらう程の量じゃないし、スプレー缶サイズの量で十分なんですけどね。ところが、U.S.A.のEastwood Co.に正にドンピシャ色ののスプレー缶がありまして、わたしはアメリカから通販調達してます。

9/11/2012

repairing inside of fuel tank - step 2-1

 Step 2は、Rust Removing &Metal Prepです。

 またしてもケミカルな液体を使います。
Oxisolv - Rust removing & metal Prep
 これは"Oxisolv"というもので、D.I.Y. Repairerで知らなかったらモグリの、有名なU.S.A.のEastwood Companyという通販会社で扱っています。以前から利用しているD.I.Y.便利グッズ屋さんです。

 Oxisolvはリン酸系の処理剤で、錆を科学的に分解/除去し、処理後は鉄の表面に亜鉛皮膜を形成して防腐加工できる、という優れもので、無公害な液体なんです。しかも、使い捨てではなく、繰り返し使用可能。一度この実力を知ると、これなくしてはレストアは不可能というくらい必須のケミカル剤で、実際、これと出会わなかったら、わたしのrallyの板金の仕上がりの程度は、Bodyの防腐耐久性という観点では低いものになっていた筈です。
 効能は強力で、錆がこの液体に浸った瞬間から即効果が現れます。他の化学薬品と同じく、その効果は気温が高ければ高い程良いです。水で希釈しても使えるのですが、熱湯で希釈すれば、かなり即効性が高まります。ただし、それも温度が冷めると原液よりも効果は低くなってしまいます。湯煎も高効果ですが、原液が蒸発して液量が減ります。
 処理後は直ぐに真水でリンスします(中和)。そして、水を拭き取れば終了、の簡単施行です。そして、完全に乾燥すれば、塗装/溶接に最適な下地完成となります。

 短期間の使用では、錆の発生している部分にのみ効果が現れるのですが、錆が取れても尚そのまま長期間浸しておくと、鉄の母材自体も分解してしまう程強力で、以前、試しにOxisolvを少量入れたガラス瓶に錆びた小ネジを浸しておいたところ、いつの間にか、その小ネジは消え失せてしまっていました。また、ガラス瓶の内側も薄くなってしまっていました(ガラスの原材料も鉱物系だから反応するのでしょうね)。それくらい、効能は強力ですが、数日から一週間程度ではそこまでには到りませんし、反応は先に錆び部分に集中するので、地金も同時に薄くなってしまう、というようなことはありません。
 同様のリン酸処理液は日本でも販売されていますが、Oxisolvは安価なのに、その効果は高い部類だと思います。

 また、他の錆除去の手法としては、メカニカルにはSand Blastというテクニックもありますが、Sand Blastの場合は、錆と一緒に健康な地金の表面も同時にある程度削り取ってしまいます。Sand Blastでは上手く錆だけを削り取るというのは難しいですし、防腐処理が必須です。なので、錆除去は状況に合わせて、このような薬品処理と使い分けるのが賢いです。
 
 で、下準備として、TankのFuel Tapを取り外した穴を栓で塞いでおきます。
 ホームセンターで買ってきた家具用ゴム足の真ん中のネジ穴をコーキング剤で埋めたものを使用しました(ガムテープとかで塞ぐのは賢明な方法ではありません……漏れます)。Fuel Tapを取り外したのは、アルミや真鍮にはOxisolvが更に強烈(過激)に反応してしまい脆くなってしまうからです(まぁ、Fuel Tapを廃棄処分念頭ならそれでもよいのですが)。
 Fuel Tank Lidの裏側にはAir Vent Holeが空いていますので、そこを爪楊枝がなにかの鉄製ではない部材で仮に塞いでおきます(Tankを逆さまにしたときに漏れ出てこないようにする為です)。
 Rubber Gasketも何故かOxisolvに反応して若干膨張しますので、以降は再使用不可となりますので注意。
 塗装面には反応しませんので、少し掛かってしまうくらいなら特に注意をする必要はないです(ただし、あまりにも薄い塗装面だと、浸透することはあるかも知れません)が、メッキ部には過剰に反応してメッキが剥がれてしまいますので、必ずマスキング等の処理が必要です。つまり、メッキを剥離したい場合にもOxisolvは有効ということです。
 「それよりも、このLidと給油開口部の錆をなんとかして!」とお思いのあなた、この茶色に見えるのは殆ど錆ではありません。心配ご無用、最後の最後に鉄色に復活しますです。

 そして、Cleaning処理済みのTank内に、先ずはOxisolv原液を若干(Tankを振れば内部表面に十分浸透させられる程度)投入します。Oxisolvは親水性なので、水が多少残っていても問題ありません。
 ということで、OxisolvをTank内に投入後数十秒で、もうこの状態になりました(カメラの露出の具合で白く見えますが、実際は銀色の鉄色です)。
 変質Gasolineの、あの薄茶色い膜は分解されて亜鉛に変換されつつあります。
 このように、Tank底面はスムースな表面を維持しており、わたしの見立てどうり錆びてはいなかったことを証明できました。

 Oxisolvは錆に浸透した瞬間、忽ち反応が始まります。原液はほぼ無臭なのですが、錆に反応すると、強烈な錆臭(ガス)が発生するので、それでだいたいの効果状況がわかります。反応が高い程、この臭気も強烈になりますので、錆が分解されている状態がわかり易いのです。錆の分解が進むと、原液は汚れてきますので、その色でも確認はできます。
 後は、液をTank内に満遍なく行き渡らせる為に、ときどき逆さまにしたり、横にしたりしながら、放置します。反応効果は、前途のとおり、作業下の気温に大きく左右されますので、使用時間は、ときどきLidを開けて内部の効果状態を確認しつつ放置しますが、シリアスになる必要はありません。1年くらいそのまま放置したら、Tankに穴が空いてるかも知れないですけどね(笑)。

 しかし、もし、液面に油が浮いているとすると、それは、まだ変質Gasolineのタール質が内部のどこかに残っているということです。Oxisolvは変質Gasolineにも反応し、薄い層なら分解してしまいますが、厚めの頑固なタール状の付着物が残留しているままだと、それらの表層に亜鉛皮膜を形成して反応が止ってしまい、それがマスキングの役割をしてOxisolvが地金にまで浸透しないようになってしまいます。そのような亜鉛皮膜で覆われた部分は、濃紺色に変化するのでわかります。そのような場合、臭気もなくなり、後は反応が鈍くなってしまいますので、一旦排出して、真水を注入してリンス中和させ、再度Cleaning行程に戻って、付着物を除去した後、再びOxisolveで処理します。

 つまり、Gasoline Tankのレストア作業は、錆び取りよりも、汚れ取りの方が重要なんです。一見、錆に見える物質の正体は変質Gasolineであって、錆が存在していたとしても、その表層は変質Gasolineによって覆われている、ということです。この見立てを誤ると、処理の方法も間違ってしまうので、ここが大事なんです。大方のD.I.Y.での失敗は、この見立て違いによる処理行程の失敗だと思います。
 同じ茶色の見た目というのが勘違いの元凶なのですが、見極めポイントをお教えしますと、色に誤摩化されないことです。究極の見極めポイントは臭いです。鉄錆臭というのは、自転車なんかに幼少の頃から慣れ親しんできた人なら経験的にわかると思います。しかし、変質Gasolineはこの鉄錆臭がしません。また別の独特の臭いがします。変質Gasolineの付着物は本当にしつこく表面に食らいついています。錆と違って、素肌に付着すると、洗ってもなかなか落ちてくれません。変質Gasolineの剥離除去は、ある意味、錆除去よりも難儀なことなんです(Fuel Tank内なら尚更)。

 さて、中和後、錆が完全に除去されて、亜鉛皮膜が形成されたPanelの表面は、概して鯖色(青銀色)の状態になります。鉄の素材の成分比率によって、薄い黄金色になったりもしますが、だいたい、自動車関連のBody Panelに使用されている鉄の場合、鯖色になると思います。それが処理完了の状態です。
 完璧な処理済みの状態であれば、良好な状況下では錆が発生するということはなく、そのままの状態での保管が可能ですが、長期保管の場合は出来るだけ塗装などのCoatingを施しておくのが無難です。