Step 2は、Rust Removing &Metal Prepです。
またしてもケミカルな液体を使います。
これは"Oxisolv"というもので、D.I.Y. Repairerで知らなかったらモグリの、有名なU.S.A.のEastwood Companyという通販会社で扱っています。以前から利用しているD.I.Y.便利グッズ屋さんです。
Oxisolvはリン酸系の処理剤で、錆を科学的に分解/除去し、処理後は鉄の表面に亜鉛皮膜を形成して防腐加工できる、という優れもので、無公害な液体なんです。しかも、使い捨てではなく、繰り返し使用可能。一度この実力を知ると、これなくしてはレストアは不可能というくらい必須のケミカル剤で、実際、これと出会わなかったら、わたしのrallyの板金の仕上がりの程度は、Bodyの防腐耐久性という観点では低いものになっていた筈です。
効能は強力で、錆がこの液体に浸った瞬間から即効果が現れます。他の化学薬品と同じく、その効果は気温が高ければ高い程良いです。水で希釈しても使えるのですが、熱湯で希釈すれば、かなり即効性が高まります。ただし、それも温度が冷めると原液よりも効果は低くなってしまいます。湯煎も高効果ですが、原液が蒸発して液量が減ります。
処理後は直ぐに真水でリンスします(中和)。そして、水を拭き取れば終了、の簡単施行です。そして、完全に乾燥すれば、塗装/溶接に最適な下地完成となります。
短期間の使用では、錆の発生している部分にのみ効果が現れるのですが、錆が取れても尚そのまま長期間浸しておくと、鉄の母材自体も分解してしまう程強力で、以前、試しにOxisolvを少量入れたガラス瓶に錆びた小ネジを浸しておいたところ、いつの間にか、その小ネジは消え失せてしまっていました。また、ガラス瓶の内側も薄くなってしまっていました(ガラスの原材料も鉱物系だから反応するのでしょうね)。それくらい、効能は強力ですが、数日から一週間程度ではそこまでには到りませんし、反応は先に錆び部分に集中するので、地金も同時に薄くなってしまう、というようなことはありません。
同様のリン酸処理液は日本でも販売されていますが、Oxisolvは安価なのに、その効果は高い部類だと思います。
また、他の錆除去の手法としては、メカニカルにはSand Blastというテクニックもありますが、Sand Blastの場合は、錆と一緒に健康な地金の表面も同時にある程度削り取ってしまいます。Sand Blastでは上手く錆だけを削り取るというのは難しいですし、防腐処理が必須です。なので、錆除去は状況に合わせて、このような薬品処理と使い分けるのが賢いです。
で、下準備として、TankのFuel Tapを取り外した穴を栓で塞いでおきます。
ホームセンターで買ってきた家具用ゴム足の真ん中のネジ穴をコーキング剤で埋めたものを使用しました(ガムテープとかで塞ぐのは賢明な方法ではありません……漏れます)。Fuel Tapを取り外したのは、アルミや真鍮にはOxisolvが更に強烈(過激)に反応してしまい脆くなってしまうからです(まぁ、Fuel Tapを廃棄処分念頭ならそれでもよいのですが)。
Fuel Tank Lidの裏側にはAir Vent Holeが空いていますので、そこを爪楊枝がなにかの鉄製ではない部材で仮に塞いでおきます(Tankを逆さまにしたときに漏れ出てこないようにする為です)。
Rubber Gasketも何故かOxisolvに反応して若干膨張しますので、以降は再使用不可となりますので注意。
塗装面には反応しませんので、少し掛かってしまうくらいなら特に注意をする必要はないです(ただし、あまりにも薄い塗装面だと、浸透することはあるかも知れません)が、メッキ部には過剰に反応してメッキが剥がれてしまいますので、必ずマスキング等の処理が必要です。つまり、メッキを剥離したい場合にもOxisolvは有効ということです。
「それよりも、このLidと給油開口部の錆をなんとかして!」とお思いのあなた、この茶色に見えるのは殆ど錆ではありません。心配ご無用、最後の最後に鉄色に復活しますです。
そして、Cleaning処理済みのTank内に、先ずはOxisolv原液を若干(Tankを振れば内部表面に十分浸透させられる程度)投入します。Oxisolvは親水性なので、水が多少残っていても問題ありません。
ということで、OxisolvをTank内に投入後数十秒で、もうこの状態になりました(カメラの露出の具合で白く見えますが、実際は銀色の鉄色です)。
変質Gasolineの、あの薄茶色い膜は分解されて亜鉛に変換されつつあります。
このように、Tank底面はスムースな表面を維持しており、わたしの見立てどうり錆びてはいなかったことを証明できました。
Oxisolvは錆に浸透した瞬間、忽ち反応が始まります。原液はほぼ無臭なのですが、錆に反応すると、強烈な錆臭(ガス)が発生するので、それでだいたいの効果状況がわかります。反応が高い程、この臭気も強烈になりますので、錆が分解されている状態がわかり易いのです。錆の分解が進むと、原液は汚れてきますので、その色でも確認はできます。
後は、液をTank内に満遍なく行き渡らせる為に、ときどき逆さまにしたり、横にしたりしながら、放置します。反応効果は、前途のとおり、作業下の気温に大きく左右されますので、使用時間は、ときどきLidを開けて内部の効果状態を確認しつつ放置しますが、シリアスになる必要はありません。1年くらいそのまま放置したら、Tankに穴が空いてるかも知れないですけどね(笑)。
しかし、もし、液面に油が浮いているとすると、それは、まだ変質Gasolineのタール質が内部のどこかに残っているということです。Oxisolvは変質Gasolineにも反応し、薄い層なら分解してしまいますが、厚めの頑固なタール状の付着物が残留しているままだと、それらの表層に亜鉛皮膜を形成して反応が止ってしまい、それがマスキングの役割をしてOxisolvが地金にまで浸透しないようになってしまいます。そのような亜鉛皮膜で覆われた部分は、濃紺色に変化するのでわかります。そのような場合、臭気もなくなり、後は反応が鈍くなってしまいますので、一旦排出して、真水を注入してリンス中和させ、再度Cleaning行程に戻って、付着物を除去した後、再びOxisolveで処理します。
つまり、Gasoline Tankのレストア作業は、錆び取りよりも、汚れ取りの方が重要なんです。一見、錆に見える物質の正体は変質Gasolineであって、錆が存在していたとしても、その表層は変質Gasolineによって覆われている、ということです。この見立てを誤ると、処理の方法も間違ってしまうので、ここが大事なんです。大方のD.I.Y.での失敗は、この見立て違いによる処理行程の失敗だと思います。
同じ茶色の見た目というのが勘違いの元凶なのですが、見極めポイントをお教えしますと、色に誤摩化されないことです。究極の見極めポイントは臭いです。鉄錆臭というのは、自転車なんかに幼少の頃から慣れ親しんできた人なら経験的にわかると思います。しかし、変質Gasolineはこの鉄錆臭がしません。また別の独特の臭いがします。変質Gasolineの付着物は本当にしつこく表面に食らいついています。錆と違って、素肌に付着すると、洗ってもなかなか落ちてくれません。変質Gasolineの剥離除去は、ある意味、錆除去よりも難儀なことなんです(Fuel Tank内なら尚更)。
さて、中和後、錆が完全に除去されて、亜鉛皮膜が形成されたPanelの表面は、概して鯖色(青銀色)の状態になります。鉄の素材の成分比率によって、薄い黄金色になったりもしますが、だいたい、自動車関連のBody Panelに使用されている鉄の場合、鯖色になると思います。それが処理完了の状態です。
完璧な処理済みの状態であれば、良好な状況下では錆が発生するということはなく、そのままの状態での保管が可能ですが、長期保管の場合は出来るだけ塗装などのCoatingを施しておくのが無難です。
またしてもケミカルな液体を使います。
Oxisolv - Rust removing & metal Prep |
Oxisolvはリン酸系の処理剤で、錆を科学的に分解/除去し、処理後は鉄の表面に亜鉛皮膜を形成して防腐加工できる、という優れもので、無公害な液体なんです。しかも、使い捨てではなく、繰り返し使用可能。一度この実力を知ると、これなくしてはレストアは不可能というくらい必須のケミカル剤で、実際、これと出会わなかったら、わたしのrallyの板金の仕上がりの程度は、Bodyの防腐耐久性という観点では低いものになっていた筈です。
効能は強力で、錆がこの液体に浸った瞬間から即効果が現れます。他の化学薬品と同じく、その効果は気温が高ければ高い程良いです。水で希釈しても使えるのですが、熱湯で希釈すれば、かなり即効性が高まります。ただし、それも温度が冷めると原液よりも効果は低くなってしまいます。湯煎も高効果ですが、原液が蒸発して液量が減ります。
処理後は直ぐに真水でリンスします(中和)。そして、水を拭き取れば終了、の簡単施行です。そして、完全に乾燥すれば、塗装/溶接に最適な下地完成となります。
短期間の使用では、錆の発生している部分にのみ効果が現れるのですが、錆が取れても尚そのまま長期間浸しておくと、鉄の母材自体も分解してしまう程強力で、以前、試しにOxisolvを少量入れたガラス瓶に錆びた小ネジを浸しておいたところ、いつの間にか、その小ネジは消え失せてしまっていました。また、ガラス瓶の内側も薄くなってしまっていました(ガラスの原材料も鉱物系だから反応するのでしょうね)。それくらい、効能は強力ですが、数日から一週間程度ではそこまでには到りませんし、反応は先に錆び部分に集中するので、地金も同時に薄くなってしまう、というようなことはありません。
同様のリン酸処理液は日本でも販売されていますが、Oxisolvは安価なのに、その効果は高い部類だと思います。
また、他の錆除去の手法としては、メカニカルにはSand Blastというテクニックもありますが、Sand Blastの場合は、錆と一緒に健康な地金の表面も同時にある程度削り取ってしまいます。Sand Blastでは上手く錆だけを削り取るというのは難しいですし、防腐処理が必須です。なので、錆除去は状況に合わせて、このような薬品処理と使い分けるのが賢いです。
で、下準備として、TankのFuel Tapを取り外した穴を栓で塞いでおきます。
ホームセンターで買ってきた家具用ゴム足の真ん中のネジ穴をコーキング剤で埋めたものを使用しました(ガムテープとかで塞ぐのは賢明な方法ではありません……漏れます)。Fuel Tapを取り外したのは、アルミや真鍮にはOxisolvが更に強烈(過激)に反応してしまい脆くなってしまうからです(まぁ、Fuel Tapを廃棄処分念頭ならそれでもよいのですが)。
Fuel Tank Lidの裏側にはAir Vent Holeが空いていますので、そこを爪楊枝がなにかの鉄製ではない部材で仮に塞いでおきます(Tankを逆さまにしたときに漏れ出てこないようにする為です)。
Rubber Gasketも何故かOxisolvに反応して若干膨張しますので、以降は再使用不可となりますので注意。
塗装面には反応しませんので、少し掛かってしまうくらいなら特に注意をする必要はないです(ただし、あまりにも薄い塗装面だと、浸透することはあるかも知れません)が、メッキ部には過剰に反応してメッキが剥がれてしまいますので、必ずマスキング等の処理が必要です。つまり、メッキを剥離したい場合にもOxisolvは有効ということです。
「それよりも、このLidと給油開口部の錆をなんとかして!」とお思いのあなた、この茶色に見えるのは殆ど錆ではありません。心配ご無用、最後の最後に鉄色に復活しますです。
そして、Cleaning処理済みのTank内に、先ずはOxisolv原液を若干(Tankを振れば内部表面に十分浸透させられる程度)投入します。Oxisolvは親水性なので、水が多少残っていても問題ありません。
ということで、OxisolvをTank内に投入後数十秒で、もうこの状態になりました(カメラの露出の具合で白く見えますが、実際は銀色の鉄色です)。
変質Gasolineの、あの薄茶色い膜は分解されて亜鉛に変換されつつあります。
このように、Tank底面はスムースな表面を維持しており、わたしの見立てどうり錆びてはいなかったことを証明できました。
Oxisolvは錆に浸透した瞬間、忽ち反応が始まります。原液はほぼ無臭なのですが、錆に反応すると、強烈な錆臭(ガス)が発生するので、それでだいたいの効果状況がわかります。反応が高い程、この臭気も強烈になりますので、錆が分解されている状態がわかり易いのです。錆の分解が進むと、原液は汚れてきますので、その色でも確認はできます。
後は、液をTank内に満遍なく行き渡らせる為に、ときどき逆さまにしたり、横にしたりしながら、放置します。反応効果は、前途のとおり、作業下の気温に大きく左右されますので、使用時間は、ときどきLidを開けて内部の効果状態を確認しつつ放置しますが、シリアスになる必要はありません。1年くらいそのまま放置したら、Tankに穴が空いてるかも知れないですけどね(笑)。
しかし、もし、液面に油が浮いているとすると、それは、まだ変質Gasolineのタール質が内部のどこかに残っているということです。Oxisolvは変質Gasolineにも反応し、薄い層なら分解してしまいますが、厚めの頑固なタール状の付着物が残留しているままだと、それらの表層に亜鉛皮膜を形成して反応が止ってしまい、それがマスキングの役割をしてOxisolvが地金にまで浸透しないようになってしまいます。そのような亜鉛皮膜で覆われた部分は、濃紺色に変化するのでわかります。そのような場合、臭気もなくなり、後は反応が鈍くなってしまいますので、一旦排出して、真水を注入してリンス中和させ、再度Cleaning行程に戻って、付着物を除去した後、再びOxisolveで処理します。
つまり、Gasoline Tankのレストア作業は、錆び取りよりも、汚れ取りの方が重要なんです。一見、錆に見える物質の正体は変質Gasolineであって、錆が存在していたとしても、その表層は変質Gasolineによって覆われている、ということです。この見立てを誤ると、処理の方法も間違ってしまうので、ここが大事なんです。大方のD.I.Y.での失敗は、この見立て違いによる処理行程の失敗だと思います。
同じ茶色の見た目というのが勘違いの元凶なのですが、見極めポイントをお教えしますと、色に誤摩化されないことです。究極の見極めポイントは臭いです。鉄錆臭というのは、自転車なんかに幼少の頃から慣れ親しんできた人なら経験的にわかると思います。しかし、変質Gasolineはこの鉄錆臭がしません。また別の独特の臭いがします。変質Gasolineの付着物は本当にしつこく表面に食らいついています。錆と違って、素肌に付着すると、洗ってもなかなか落ちてくれません。変質Gasolineの剥離除去は、ある意味、錆除去よりも難儀なことなんです(Fuel Tank内なら尚更)。
さて、中和後、錆が完全に除去されて、亜鉛皮膜が形成されたPanelの表面は、概して鯖色(青銀色)の状態になります。鉄の素材の成分比率によって、薄い黄金色になったりもしますが、だいたい、自動車関連のBody Panelに使用されている鉄の場合、鯖色になると思います。それが処理完了の状態です。
完璧な処理済みの状態であれば、良好な状況下では錆が発生するということはなく、そのままの状態での保管が可能ですが、長期保管の場合は出来るだけ塗装などのCoatingを施しておくのが無難です。
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