9/16/2012

carburettor fitting problem

 CarburettorのFittingに関する問題点です。

 vespaの場合、InletとExhaustの接続部からのOil漏れをしている個体が多いです。その原因は接続部の緩み、Gasket不良などによるものでしょうが、わたしとしてはそういう問題はクリアしておきたかった。しかし、前回のレストアの途上でのテスト走行時には上手くいきませんでした。
 情けないことに、こういうことになっておりました。あまり見たい光景ではないですね。でも、これでもギリギリOil-Lineは確保されていたので、焼き付きなどの大事には至ってはいません。

 この原因は、組み付けたわたし本人がはっきり自覚しておりまして、完全に締め付けTorque不足によるものです。しかし、それには理由があって、規定Torqueで締め付けると、何故かCarburettor Bodyが歪んで、Throttle Slide Valveが固着してしまい、動かなくなったのです(特にClutch Side側)。このNutの規定締め付けTorqueは結構高めで、1.6 - 2.0kgmです。その為、敢てThrottle Slideが自由になる強さで渋々緩めに締め付けざるを得なかった、という訳です。
 当初、もっとも怪しいと判断した、Carburettor - Box - Crank Caseの各Seat面ですが、歪みはありませんでした。他の関係箇所もいろいろ調べてみたのですが、結局、当時ははっきりした原因が掴めず、原因不明のまま、その後はvespaとは無関係の事由により長期間放置となっていました。

 で、今回はここの問題をきれいさっぱり解決しなければいけませんでした。
 ネットで検索して調べてみると、或るvespa専門店のBlogで正に同様の症例が紹介されていまして、そのShopの見解では、「Carburettor Bodyの歪みが原因」と判断されて、あっさり新品Carburetorに交換修理されていました。果たして、それで本当に改善、解決したのでしょうか?

 Crank CaseからCarburettor Boxごと取り外して、取り付け時の関係性をよくよく観察していたら、一つ気づいた点がありました。
 Carburettor Body - Carburettor Box - Crank Case、これらの位置合わせは、Crank Caseに捩じ込まれたStudがCarbretorとBoxのこのStud穴を貫通することで位置が決まります。BoxはCrank Caseに開けられた穴に別のScrewで留めて固定します。ここまでは問題ありません。
 問題は、Box内にCarburettorをマウントする時に、実はもう一点、CarburettorのFloat Chamber下にはOver Flow Pipeがあって、そのPipeがBoxを貫通する箇所なんです。
 画像はCarburettorの底面ですが、当該Pipeは一番下に見えるFloat Chamber前部の底部にある垂直Pipeのことです。

 Box側には、そのPipeの受け台座があり、Carburettor全体の位置決めの一つにもなっています。
 Screw Driverで示しているのが、その台座部分です。

 で、この台座とCarburettorとの間にRubber Grommetを挟んでマウントするのですが、その専用GrommetはDell'ortoのRepair Gasket Kitに入っています。わたしは、当初、その新品Grommetを使用していました。ところが、このGrommetの厚みが分厚く、本締め付け前の仮組み状態では、Carburettor BodyはSeat面がBoxと密着せず、Clutch側が浮いて傾いでしまいます。しかし、Rubber Grommetは金属とは違って柔軟ですので、わたしは本締めすれば厚みは潰れて問題ないのだろうと思い込んでいました。だって、これは純正の交換部品なのですから。
 ところが、実際は、このGrommetはあまりにも厚過ぎだったのです。言わば、「枕が高過ぎ」なのです。

 わたしの立てた仮説を検証するため、Boxの台座TopからCarburettor側のPipeのSeat面の隙間(つまりGrommetに必要とされる厚み)を実計測してみると、仮組状態でおよそ2.0mmでした。もし、2.0mmのGrommetを使用して本締めすれば、この間隔は締め付け圧力により僅かにGrommet諸共詰まって、密着度合いはちょうどよいくらいになる筈です。
 そして、Dell'ortoのGrommetの厚みを測ると、その2倍の4.0mm。つまり、本締めしたとき、このGrommetは2.0mm以上、厚みが潰れてくれないといけないことになります。しかし、このGrommetは案外硬質で、弾力のかなり強いタイプなのでした。
Warning!: Do not use over-thicker grommet @ this point. It makes carburettor body distorted and becomes the cause that attachment is poor.
 そこで、試しに、わたしの手持ちのRubber Grommetで、内径だけが合致したまったくvespaとは関係ない別のものを2.0mmの厚みにCutして、それを仮に使用して、Fittingを試してみたのです。
 結果は、これがドンピシャでした。
 本締めしてもThrottle Slideはまったく固着せずに抵抗なく動作しますし、Nut x 2個共、ちゃんと規定Torqueを掛けて本締めできました。至極正常な状態です。

 このGrommetの役割は、緩衝材として、また、Boxの密閉性を保つ為、くらいしか、どう考えても他には役割はないと思われます。つまり、メカニカルな機能のサポートを担っているものでもありませんし、特に大きな重要性はないわけです。それ故に当初はまったく問題視しておらず、それが逆に盲点になってしまっていました。
 最初のオリジナルの状態からバラした時、思い返せば、ここに挟まれていたのはRubber Grommetではなく、薄いFiber Washerではなかったか? とも思い当たりました。それはもうとっくの昔に捨ててしまったので確信はありませんが。
 このGrommetの箇所は、Carburettor取り付けNutからは離れた位置にあり、締め付けTorqueが直接は掛かりません。その為、締め付けTorqueが掛かったとき、Grommetの不用な厚みが抵抗になった分、Torqueが分散してCarburettor本体の方に無理な圧力が掛かってしまう、という訳です。
 とにかく、Dell'orto純正のGrommetの厚みと、その弾性が大きな抵抗となっていたことがCarburettor取り付け締め付け不良の直接の原因だったのでした。

 思いますに、この箇所の隙間(Grommetに必要とされる適正な厚み)というのは、CarburettorとBoxとの組み合わせ、それぞれの生産公差による誤差を考え合わせたとき、個体によってはある程度のバラつきが発生するのではないか? と。SI Type Carburettorは、口径違いで数種存在しますしね。最後にGrommet自体の弾力の問題です。
 ともあれ、このGrommetたった一つの問題で、Assembly後の結果は大きな差になって現われてしまう、ということでして。

 さて、Carburettor Bodyが勝手に歪むでしょうか?(Throttle Slide Valveが固着する程に) それはEngineの熱の影響で?(まさか)それとも、まったく何の原因もなしに? Carburettorはそんなに精度が低く製造されている?(まさか、まさか) 歪みの原因は不明のまま放置プレイで修理完遂?
 「Carburettorを新品に交換したら直りました」て……偶々新しいCarburettorとGrommetとの相性がドンズバだったのかしらー?(秘技宝くじ的修理法?)

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